賛否両論あるものの,背中を鍛えるための種目として有効だと考えられているデッドリフトは,いくつかバリエーションがあります.
そのバリエーションとして,床から引くフルデッドリフトと,予め,パワーラックにバーベルをセットして実施するトップサイドデッドリフトがあり,両者で難易度が大きく異なります (難易度というよりも,「扱うことができる重量が大きく異なる」と表現する方が正しいでしょうか.).
今回は,フルデッドリフトとトップサイドデッドリフトの難易度の違いが良く分かる動画を見つけたため,皆さんとシェアしいたいと思います!
トップサイドデッドリフトの動画
フルデッドリフトとトップサイドデッドリフトの難易度の違い考える上で,非常に参考になったのが以下のトップサイドデッドリフトの動画です.
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今回の動画の説明部分で述べられているsilver dollar deadlift (シルバーダラーデッドリフト)は,我々がトップサイドデッドリフト,もしくはハーフデッドリフトと形容する種目を表しています.トップサイドデッドリフトが,なぜこの様な名称になるのかについてですが,トップサイドデッドリフトを行うためにバーベルを配置する箱が,古くは銀貨を詰めた大きな箱で実施していたのが理由の様です (ちなみに,シルバーダラーデッドリフトは,初期のストロングマンの種目だった様です.).
今回実施しているトップサイドデッドリフトは,それまでの記録を17.2 kg上回る1272.5 lbs (=約577 kg)だった様で,この種目での世界記録に相当します (ちなみに,今回の記録ですが,ストロングマンの基準で定められているデッドリフトスーツ,リフティングベルト,ストラップを使用し公式の世界記録扱いになる様です.).ここまでのレベルになると,バーベルに重りを装填することができなくなり,バーベル上に紐でケトルベルを吊るしているのが非常に印象的です.また,バーベルの反りもとんでもないことになっており,我々一般人からすると少し考えられませんね.
ちなみに,今回,トップサイドデッドリフトを実施したのはBen Thompsonという選手です.
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Ben Thompsonは,ストロングマンの選手であり,ストロングマンとしてのキャリアは 2016 Giants Live North American Openで9位になりましたが,そこまで目立ったものではありません.むしろ彼は,トップサイドデッドリフトの重量を争うSilver Dollar Deadlift World Championshipsで非常に輝かしい成績を残しており,2021年,2022年の同大会で優勝しています.
改めてトップサイドデッドリフトの方が重量を扱える
トップサイドデッドリフトとフルデッドリフトを比較すると,改めて,トップサイドデッドリフトの方が重量を扱えるという印象が強いです.
今回のトップサイドデッドリフトは世界記録であるということもあり,同じくフルデッドリフトの世界記録と比較すると,フルデッドリフトの世界記録は501 kgであることから,トップサイドデッドリフトはそれよりも70 kg以上重い重量を扱えていることが言えます.
しかも,今回の動画で紹介したトップサイドデッドリフトで注目すべき点は,重量設定の段階でケトルベルをバーベルに吊るしている点です.トップサイドであるため,可動域は非常に限定されていますが,それでもケトルベルが揺れることにより重心が安定しなくなり,高重量を扱うことが難しくなるとされています (有名なのが,ハンマー投げの室伏広治のトレーニングであり,彼はバーベルでトレーニングする際には重りを吊るして,スクワットをしていましたね.).
つまり,もし,577kgをきちんとバーベルで設定することができれば,より高重量でのデッドリフトを実施できる可能性があるということであり,実際には,今回の記録以上の記録を持っているのではないかと予想できます.
終わりに…
トップサイドデッドリフトの方が重量を扱えるというのは有名な話ですが,やはり,この様に世界記録を比較することで,トップサイドデッドリフトの方が70 kg以上重い重量を扱うことができるというのは非常に参考になります.
フルデッドリフトを実施する上で,最大のネックとなるのは床から引く最初の部分であり,それが重量を扱い辛くしているということがよく分かりますね.