ジェイカトラーが振り返るミスターオリンピア 2007

ミスターオリンピアでは,過去にいくつか議論を呼ぶジャッジがありましたが,その一つとしてJay Cutler (ジェイカトラー)が2連覇を果たしたミスターオリンピア 2007が挙げられます.

そのミスターオリンピア 2007について,当事者のジェイカトラーが振り返るという非常に興味深い動画を見つけたため皆さんとシェアしたいと思います.

ジェイカトラーとは

ジェイカトラーは1973年アメリカ生まれのプロボディビルダーです.身長は175 cm,体重は124-140 kgでした.

ジェイカトラーは,1996年のNPCナショナルズ・ヘビー級で優勝することでプロカードを取得しました.当時は,現在と比較してIFBBプロになるのが非常に難しい時代であり,通常,多くの選手が10年以上かけてIFBBプロを目指すところを,彼は23歳で成し遂げました.

プロデビュー戦となった1998 IFBB Night of Championsは11位と成績は奮いませんでした.翌年,なんとかしてオリンピアに出場した彼は14位に終わりますが,そこから,2013年まで2002年と2012年を除いて出場し続け,4度の制覇,6度の2位 (そのうち,4回はロニーコールマンに敗れています)という素晴らしい成績を残しました.

彼を語る上で,避けて通れないのがオリンピア 2009です.彼は,前年にDextor Jacksonに敗れており,一度オリンピアで敗れた選手がもう一度オリンピアに返り咲いた例はなかったことから,「ジェイカトラーの時代は終わった」と当時は考えられていましたが,驚愕の仕上がりでオリンピア 2009を制します.

 

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これがジェイカトラーを語る上で,彼が最高だった年の一つであり,この大腿四頭筋のポージングはあまりにも有名です.

ジェイカトラーがミスターオリンピア 2007を振り返る動画

今回,ジェイカトラーがミスターオリンピア 2007を振り返る動画は以下です.

動画の作成元は,Cutler Castです.

動画の長さは1:10:14です.

今回の動画は,ジェイカトラーの友人であるMilos Sarcev (ミロス)との対談形式であり,ミロスがかなり際どいところまで聞いているので非常に見応えがあります.

ミロスはジェイカトラーは2位はおろか,それ以下の順位相応の仕上がりだったと指摘

今回の動画にて,ミロスは非常に手厳しく,ジェイカトラーがミスターオリンピア 2007にて2位はおろか,それ以下の順位が相応だったと指摘します.

Victor, Dennis, and Dexter all beat you. If I was – yeah. He got fourth. Listen, there was an argument for all three. But okay, if you look now, Big Ramy slips from first all the way down to fifth. Maybe it was not even feasible back in the day.

ビクターマルティネス,デニスウルフ,デキスタージャクソン,みんなあなたに勝っていましたね.もし私がそうだったら……そうですね,デキスタージャクソンは4位だったと思います.あのね3人とも言い分があったとおもいます.でも,今見るとビッグラミーは1位から5位に転落しています.多分,昔は実現不可能だったんだろう.

ミスターオリンピア 2007では,「ビクターマルティネスが優勝していた」ということは非常に多く言われていることです.

今回,ミロスが指摘しているのは,デニスウルフ,デキスタージャクソンも非常に素晴らしく,ジェイカトラーを上回っていた可能性があるということです.

以上のような選手が素晴らしかったのにも関わらず,ジェイカトラーが優勝できたのは,当時のオリンピアは過去の選手の戦績も考慮に入れていたからではないかと指摘しています.一方で,ミスターオリンピアでは,2020,2021で優勝していたビッグラミーが一気に5位に転落したことから,過去の戦績を考慮にいれていないことは明らかです.

ジェイカトラーはミスターオリンピア 2007当時は選手にバイアスがあったことを指摘

以上の問題について,ジェイカトラーはミスターオリンピア 2007当時は選手にバイアスがあったことを指摘しています.

I know, but you’re not qualified to be a judge. Let me ask you a question. We finished the Olympia last year, do you feel the judging standards are better today than they were back when I was there and Dorian – like, I felt, this is how I felt and I can speak this because I’m not competitive now. I think the judging was a little more biased to names back then than it is now. 

わかってるよ,でもあなたには審査員の資格はないんです.質問させてください.2021年のオリンピアを終えましたが,私がいた頃やドリアンの頃と比べて,今の審査基準は良くなっていると感じますか?例えば,私が感じたこと,今は競技者ではないからこそ話せることです.当時は,今よりも少し名前にバイアスがかかっていたような気がします.

この「バイアス」により,ミスターオリンピア 2007でジェイカトラーは優勝することができましたが,彼の場合には,それ以前に何度もRonnie Coleman (ローニーコールマン)に迫って敗れています (実際に,ジェイカトラーが勝っていたのではと言われるコンテストは何度もありました).

それを考えると,ミスターオリンピア 2007のジェイカトラーの勝利というのは確かに議論を呼ぶものではありましたが,キャリアを通じて彼のそれまでの戦績を考えると,妥当だったという考え方もすることもできます.

終わりに…

今回の対談ですが,ほんとうにミロスが遠慮なしにあれこれを指摘するので,非常に興味深かったです.それに対して,率直に答えるジェイカトラーは,やはり人間的にも優れいてると感じました.

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