その体脂肪率,本当に正しいですか?体脂肪率の測定方法の種類

体脂肪率

どれくらいの体脂肪が身体の中に蓄積されているかの指標として,体脂肪率というものが存在します.

アスリートの中には,「体脂肪率が3%未満」ということを豪語している選手もおりますが,そこで疑問になるのが,体脂肪率の確からしさです.

今回は,体脂肪率の代表的な測り方について皆さんとシェアしたいと思います.

体脂肪率の測り方

体脂肪率の測り方には,主に,生体インピーダンス法,キャリパー式,水中体重秤量法,空気置換法,二重エネルギーX線吸収法,CTや超音波を用いた方法の6種類があります (この中で一般的なのが生体インピーダンス法,キャリパー式だと思います.).

生体インピーダンス法

最も一般的な体脂肪率の測定方法がインピーダンス法になります.

インピーダンス法は,身体に微弱な電流を流すことで身体全体の抵抗値を測定することで体脂肪率を測定する方法になります (脂肪は,電気を通し難いことを利用しています.).

本手法のメリットは,簡便に,高速で測定可能である点にあります.一方で,本手法のデメリットとしては,身体に電気を流すことで間接的に体脂肪率を測定しますから,身体の水分量が測定結果に大きく影響する点にあります.

例えば,手に汗がついているだけでも結果は大きく変わることから,値の信頼性は劣ります

キャリパー式

キャリパー式は,あまり馴染みがないかもしれませんが,特殊器具で皮をつまみ,それにより体脂肪率を測定する方法です.

この手法ですが,プロ選手が,自身のダイエットの進行具合を確認するために取り入れている傾向が強いです.

本手法のメリットは,測定者の身体の状況が測定結果に影響し難い点にあります.一方で,本手法のデメリットは,測定者によってばらつきが大きくなる点にあります.そのため,測定する人が毎回同一ならば,ばらつきも小さく抑えることができ,この点からプロの選手の中で取り入れている人が多いのでしょう.

水中体重秤量法

水中体重秤量法は,名前は聞いたことがあるという方はいらっしゃるかもしれませんが,実際にやったことがあるという方は非常に少ないのではないでしょうか.

水中体重秤量法は,簡単にまとめると空気中での体重と,水中での体重の差から体脂肪率を算出する方法になります.

この方法のメリットは,体脂肪率としてかなり確からしい値が得られる点にあります.一方で,セットアップはかなり大がかりであり,特定の研究機関でしか実施することができません

空気置換法

空気置換法は,私はやったことがあるという人を見たことがありません.

空気置換法は,特殊なカプセルに入りカプセル内に圧力をかけ,圧力の変化から体脂肪率を測定する方法になります.

空気置換法 装置

本手法のメリットとしては,高い精度の体脂肪率が得られる点になります.一方で,本手法のデメリットは,装置のコストが非常に高いという点です (そもそも,体脂肪率を測るのに,一般の人がここまでするとは考え難いです.).

二重エネルギーX線吸収法

二重エネルギーX線吸収法は,体脂肪率の基準計測法として適用されており,二種類の異なる波長のX線を身体に当て,その透過を測定することで体脂肪率を測定する方法です.

dxa装置

本手法は,骨密度を測定する方法としても適用されています.

本手法のメリットとしては,高い精度の体脂肪率が得られる点になります.一方で,本手法のデメリットは,X線を身体に照射するということで,身体が多かれ少なかれ被曝してしまう点にあります.

CTや超音波を用いた方法

CTや超音波を用いた方法は,CTや超音波を用いることで身体の断面画像を取得することが可能であるため,その画像から脂肪の厚さを測定する方法です.

本手法のメリットとしては,比較的,高い精度の体脂肪率が得られる点になります.一方で,本手法のデメリットは,装置が大がかりであることが挙げられます.

現実的な体脂肪率測定方法

現実的な体脂肪率測定方法は,生体インピーダンス法,キャリパー式になります.

ただ,前述した通り,生体インピーダンス法は体内の水分量で値が大きく変わる手法になりますから,より正確に体脂肪率を知りたいという場合にはキャリパー式で測定するのがお勧めになります.

実際に,世の中で販売されている生体インピーダンス法により体脂肪率を測定できる体組成計は,物によっては100万円以上するものも存在するのにも関わらず,値の確からしさという点ではイマイチであることを考えると,数千円で購入することができるキャリパーは非常に優秀であるという見方もできます.

終わりに…

世の中で,2-3%の体脂肪率と豪語している人の多くは,生体インピーダンス方式により測定されたものであり,その値は信用性に欠けると判断することができます.

一般的に,女性は10%,男性は5%程度を切ると生命活動に支障をきたすと言われており,実際に,全盛期の伊達公子選手の体脂肪率が9.8%,ロニーコールマンのコンテスト時の体脂肪率が4.8%程度だったと言われています.

彼らでさえこの体脂肪率ですから,実際に,体脂肪率をかなり低い値で豪語している方は疑った方が無難であると思います.

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