ミスターオリンピア 2022で非常にセンセーショナルな結果を残したDerek Lunsfordについて,トップコーチの一人であるMilos Sarcev (ミロス)は彼のミスターオリンピアでの仕上がりに非常に驚いた様です.
今回は,この情報を皆さんとシェアしたいと思います.
Derek Lunsfordとは
Derek Lunsfordは,1993年生まれのアメリカ出身のプロボディビルダーです.身長は167.5 cm,体重は88.3 kg-93.0 kgと言われています.
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彼は,非常に才能に溢れた選手であり,2017年にNPC USA Championshipsで優勝することで若干24歳にしてプロカードを取得します.プロカード取得から1ヶ月後に行われたタンパプロ 2017の212ポンドクラスで優勝し,オリンピア 2017の獲得権を得ます.そこで,初出場ながら,オリンピア 2017では5位に入賞し,非常に注目を集めました.
それからも彼の快進撃は続き,オリンピア 2018では,絶対王者フレックスルイスに肉薄する形で2位に入賞し,オリンピア 2018を最後にフレックスルイスが212ポンドクラスから引退することを宣言したことから,ここからは,誰もがDerek Lunsfordの時代になると思いました (非常に若く,優れた肉体を持っていたからです.).
ただし,そこからは我慢の年が続きます.オリンピア 2019では,多くの人がDerek Lunsfordの優勝を予想する中で,彼のコンディションは芳しくなく2位に終わります.また,その翌年のオリンピア 2020でも彼のコンディションは一向に改善することはなく,まさかの4位に終わります.
オリンピア 2020で4位になったことを転機に,彼はコーチとして新たにHany Rambodを招聘し,オリンピア2021では彼史上,最高のコンディションを披露することで初優勝を果たしました.
Milos Sarcev (ミロス)とは
Milos “THE MIND” Sarcev (ミロス)は,1964年セリビア生まれのプロボディビルダーであり,身長は180 cm,体重は109 kg-118 kgの様です.
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彼は1987年にアメリカに渡り,そこでコンテストを勝ち抜くことで1991年にプロに転向します.
このプロ転向した年からわかる通り,彼が活躍したのがボディビルディングで黄金期と呼ばれる1990年代であり,その様な時代でも,彼は1991,1992,1993,1994,1997,1998,1999のオリンピアに出場し,オリンピア 1993,1997,1999では10位に入ります.
2003年に引退した後は,現在までコーチとして活躍しています.彼に師事した選手は多くいますが,日本人初のIFBBプロである山岸秀匡選手が非常に有名です.また,調べてみると,アメリカの陸上競技選手であるTim Montgomeryのストレングス,コンディショニングコーチもしていた様ですね.
ミロスがミスターオリンピア 2022でのDerek Lunsfordの仕上がりについて述べた動画
ミロスがミスターオリンピア 2022でのDerek Lunsfordの仕上がりについて述べた動画は以下です.
動画の作成元は,IFBB AMAというyoutubeチャンネルです.
動画の長さは1:10:31です.
ミロスはDerek Lunsfordが「オリンピア史上最大のVテーパー」と考える
Derek Lunsfordのミスターオリンピア 2022での仕上がりは非常に素晴らしかった中で,ミロスは特に彼のVテーパーについて言及します.
In a good way, Derek Lunsford was the biggest shock. I didn’t really expect it. I did it however say that he can possibly win on the merits that he’s just the most structurally symmetrical, proportional, wow shape, and the biggest v-taper. I’m going to call that the most extreme v-taper in Olympia history. I was front row and when they went from side to the front, Derek was standing right in front of me. He looked monstrously huge. He pretty much looked the biggest over there
良い意味でDerek Lunsfordが一番ショックでした.彼については,本当に期待していなかったんです.しかし,彼は,構造的に最も対称的で,プロポーションが良く,素晴らしいシェイプで,最も大きなVテーパーであるという長所から,優勝できる可能性があると言ったのです.私は,彼をオリンピア史上最も極端なV字テーパーと呼ぶつもりです.私は最前列にいたのですが,サイドからフロントに移動するとき,彼は私の目の前に立っていました.彼は怪物のように巨大に見えました.彼はあそこで一番大きく見えたよ.
ミロスがDerek Lunsfordを「most extreme v-taper in Olympia history」と指摘しているのは非常に驚きです.過去にDorian Yates (ドリアンイェーツ)やRonnie Coleman (ロニーコールマン)などのマスモンスターもいる中で,彼らのサイズは極めて優れていたいものの,ミッドセクションの肥大も顕著となっていました.
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その一方で,,Derek Lunsfordはウエストをかなり細く保っているため,Vテーパーが際立って見えたのでしょう.
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Derek Lunsfordは,オリンピア 2021までは212 lbsクラスの選手だったことを考えると,彼を「史上最大」と表現できるのは本当に異例なのではないかと感じます.
ミロスはDerek Lunsfordの強みは,対称性,プロポーションと考える
Derek Lunsfordは,2021年まで212 lbsクラスで活躍していたことから,2022年の段階では「サイズがかなり素晴らしい選手ではない」ということをミロスは示唆します.その一方で,対称性,プロポーションの良さは彼のかなりの強みであるとミロス考えます.
You can’t say that Derek won the most muscular pose. This is not going to happen… But structurally, that wow factor, the beautiful physique. So I am delighted that IFBB is recognizing that a 212 guy, who’s smaller, shorter, with a beautiful shape now is a legitimate contender for the title.”
「モストマスキュラーポーズで勝利した」なんてことは考えないでしょう.でも,構造的に,その驚異的な要素,美しい体格が素晴らしいのです.だから,IFBBが,かつて212 lbsクラスの選手で,小さくて,背が低くて,美しい体型の選手が,今やタイトルの正当な候補者であると認めてくれたことを嬉しく思っています.
Derek Lunsfordのモストマスキュラーポーズは非常に有名です.
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このポージングですが,基本的には上半身の強さを見せつけるポージングなのですが,このお馴染みのポージングについて,ミロスは「他を圧倒していたわけではない」ことを指摘します.一方で,その他のポージングでは,対称性,身体の美しさがはっきりと分かるものが多く,それが要因で彼が初出場のミスターオリンピアで2位に躍進できた理由であると考えます.
終わりに…
今回のDerek Lunsfordで見逃すことができないのは,明らかにコンディションが良かった点です.彼は,元々,コンディショニングに難を抱えている選手だったため,オープンクラスに転向したことでその問題がより顕著になるのかと多くの人が予想する中で,その予想を裏切る結果となりました.
あのサイズであのコンディショニングに加えて,オープンクラスでは見られない対称性,プロポーションは他の選手にとってかなりの脅威だと思います.