ボディビルディングを見聞きしたことがある人なら,聞いたことのあるテクニックとして,”塩抜き”,”水抜き”というものがあります.
基本的に,これらは,我々が生活していく上で欠かせないものになるのですが,ボディビルディングでは,コンテストの調整の一環で取り入れている選手が多いですのですが,本当に正しいテクニックなのでしょうか.
今回は,特に,「塩抜き」の正否について皆さんとシェアしたいと思います.
そもそも,”水抜き”,”塩抜き”とは
そもそも,「塩抜き」というテクニックですが,これは,「水抜き」というテクニックと一緒に説明する必要があります.
ボディビルディングは,身体の仕上がりを見る競技であることから,より筋肉の仕上がりの良さを見せるために,”ドライな”状態を作ることが求められます.仕上がりがドライでない場合,皮膚が水を含んだ状態になり,「筋肉のセパレーションが芳しく見えない」,「体がぼてっとして見える」などの問題を抱えることになります.
そのため,ボディビルダーは,コンテストの準備を通して体から水分を除くという作業をしていくのですが,その中で行われるのが”水抜き”,”塩抜き”というテクニックです.
水抜き
「水抜き」というテクニックてですが,文字通り,水を抜く,すなわち,日常生活で摂取する水分量を減らすテクニックになります.
ボクサーなどは,体重を減らすために水抜きをしますが,前述した通り,ボディビルダーは皮膚の質感を高めるために水抜きを行います.
ただ,実際には,水を抜いただけでは,水抜きを行うことができないため,後述する塩抜きを併用することになります.
塩抜き
「塩抜き」というテクニックてですが,文字通り,塩を抜く,すなわち,日常生活で摂取する塩分量を減らすテクニックになります.
「なぜ塩を抜くことが水を抜くことにつながるか」ということですが,これは,体内の塩分濃度に大きく関係しています.
体内には,塩分濃度を一定に保とうととする機構が備わっています.例えば,塩分を多量に摂取すると,体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きにより,体は水を摂取すること ( = 喉が渇くこと)を求めます.
これを利用したのが「塩抜き」というテクニックであり,逆に塩分摂取量を減らすと体内の塩分濃度を一定に保つために体内の水を排出しようとする働きが強まります.すなわち,「水抜き」と「塩抜き」を合わせて実施することで水分が抜け,”皮膚一枚”の仕上がりになるというのが従来の考え方でした.
“塩抜き”が正しいテクニックとは限らない
今回,議論するのは,「塩抜き」というテクニックが正しいかどうかということですが,私の見聞きしている限りでは,近年では,塩抜きが正しいテクニックとは限らないと主張している人は多い気がします.
今回,その中でも,”塩抜き”に関して意見を述べている動画を見つけたため,皆さんとシェアしたいと思います.
動画の作成元は,Generation Ironになります.
今回は,「塩抜き」というテクニックの正しさについて,IFBBプロのArash Rahbarが意見を述べています.
彼が今回述べているのは以下の点です.
「多くの人が実施する「塩抜き」は最終的には彼らが意図する結果を得られない」
この理由ですが,「塩抜き」をすると,身体を動かすためのエネルギー欠乏している感覚を覚え,身体も十分にパンプせず,非常に消耗した感覚を覚えるための様です.特に,ボディビルダーとして「塩抜き」をしてステージに立つと,身体がフラットな状態に見えてしまいまいます.これは,塩分濃度が血圧を司っており,体内の塩分濃度が低いほど,血圧も低くなってしまい,血流が悪い状態になっているためです (この「塩抜き」をすると体がパンプしないということに関しては,山岸秀匡選手も口酸っぱくおっしゃってますよね.).
だからこそ,Arash Rahbarは,むしろ,一般的な人よりもしっかりと水と塩分を摂取しているということを述べています.
(ただ,高血圧の方など,健康に問題を抱えている方の塩分の摂取量は気を付ける必要がありますね.)
終わりに…
そもそもですが,食品に塩が添加されているのは,今回の動画でも述べられていた通り,「保存」と「味」という観点が強いです.そのため,「塩抜き」を過度に実施してしまうと,食品としての美味しさが損なわれることにより,栄養の吸収という側面でも問題があるのかなと個人的には考えてしまいました.
また,実際にそのものに塩が含まれているケースというのは非常に多いわけですから,「塩抜き」というのは言うのは簡単ですが,実際に完璧に実施するのは非常に骨が折れそうです.
今回の記事で紹介した「水抜き」,「塩抜き」に関してですが,最近では科学的根拠に基づいて疑問視している方も多く,全くやらないわけではないのですが,過度には実施しないというスタンスの方が多い気がしますね.