トレーニングをする上で,最も有名で,かつ,最も多くの人が取り入れているサプリメントがプロテインです.
今回は,そんなプロテインについて,プロテインの効果,おすすめの摂取タイミング,量などについてご紹介します.
プロテインとは
プロテインは,英語で「Protein」で「たんぱく質」を意味します.つまり,トレーニング後に摂取するプロテインは,基本的にはたんぱく質を摂取していることになります(日本では,「プロテイン=サプリメント」を指しますが,海外では,「プロテイン」がたんぱく質を意味することから「プロテインシェイク=日本で言うプロテイン」を意味することが多いです).
たんぱく質は,通常の食べ物にも含まれます.具体的には,肉,魚,乳製品などに含まれます.このため,基本的には,これらの食べ物を十分に食べることができていれば,プロテインは必要ないのですが,これらの食べ物を十分に食べるには,金銭的(=値段が高い),時間的(=調理に時間がかかる),カロリー的(=注意しないとたんぱく質以外の栄養素も摂取してしまう)な観点から難しいです.
以上の問題に対して,プロテインは,食べ物を食べるよりも,手軽に,たんぱく質だけを摂取できるという長所があります.また,そもそも日本人は,たんぱく質の摂取量が十分でないという問題があるため,プロテインは摂取することで手軽にたんぱく質の摂取量を稼ぐことができることができることから,多くの人におすすめされています.
プロテインとアミノ酸の違い
プロテインと似ており,かつ,トレーニングをしている方には摂取がおすすめされているサプリメントにアミノ酸がありますが,両者は異なります.
プロテインは複数のアミノ酸からなる高分子化合物です.より厳密には,アミノ酸の結合数で呼び方が変わっており,4つのアミノ酸が結合していれば「テトラペプチド」,20個ならば「オリゴペプチド」,2-20個程度のアミノ酸が結合したものを総じて「ペプチド」と呼びます.このため,ペプチドとたんぱく質の違いが非常に曖昧になるのですが,基本的には,アミノ酸が50個以上からなれば「たんぱく質」と呼ばれます.
以上の50個のタンパク質の種類は,50個全て異なるのではなく,20種類のアミノ酸からなります.この20種類のアミノ酸は,必須アミノ酸(=体内で合成できないアミノ酸)と,非必須アミノ酸(=体内で合成できるアミノ酸)に分類できます.
必須アミノ酸は,バリン,イソロイシン,ロイシン,メチオニン,リジン,フェニルアラニン,トリプトファン,トレオニン,ヒスチジンからなり,Essential Amino Acids(EAA)と表記した方が分かりやすいという人も多いでしょう.ちなみに,EAAの中でもバリン,ロイシン,イソロイシンはBranched Chain Amino Acid(BCAA)と呼ばれます.
非必須アミノ酸は,チロシン,システイン,アスパラギン酸、アスパラギン,セリン,グルタミン酸,グルタミン,プロリン,グリシン,アラニン,アルギニンです.
プロテインはどんな人におすすめか
プロテインは,全ての方におすすめです.
プロテインは,トレーニングをしている方に特におすすめのサプリメントです.ただ,前述した通り日本人は基本的にたんぱく質の摂取量が十分でないことを考慮に入れると,それほどハードにトレーニングをしていない方にもプロテインの摂取は健康促進という目的においておすすめです.
ただし,プロテインを摂取する際には,「あくまでもサプリメント(=補助)」であるということを忘れてはいけません.1日に必要なたんぱく質は,数字上はプロテインで摂取することはできますが,プロテインは食事と比較すると吸収率が良くなく,製品によって合う/合わないがはっきり分かれます.
このことを考えると,プロテインは全ての人におすすめではあるものの,あくまでも食事からの摂取を主と考え,トレーニング直後など,食事を摂取することが難しい場面で摂取するようにするのがおすすめです.
プロテインの1回の摂取量
プロテインの1回の摂取量はかなり意見が別れる問題です.
一般的に言われているのが,一回のプロテイン摂取量は20gが適量ということであり,多すぎても身体に吸収されないという意見です.
ただ,この意見についても,日本でトップレベルの選手でも1回で50g程度のプロテインを摂取している選手もおり,また海外のプロボディビルダーも一回にかなりの量を摂取する選手もいるため,必ずしも当てはまるのか少し疑問が残るところです.
そもそも,この20gのプロテイン摂取というのは,プロテインに含まれるアミノ酸の一種であるロイシンの役割である筋合成が活性化するために必要な量を摂取するための値であり,20gが果たして万人に当てはまるのが多少疑問が残るところです.
個人的な意見としては,トレーンング初心者の方は20gのプロテインは一日2-3回摂取するのが良いかなと言う感じで,中・上級者は自分の成長に合わせて,プロテインの量を増減させるのが良いかなと言う感じです.
タンパク質の1日の摂取量
筋肉量を増大させるためには,一日に体重1kgあたり2g程度のタンパク質が必要であると言われています.例えば,体重が60 kgの人であれば,120gのタンパク質が筋肥大には必要です (上級者の中には体重1kgに対して3-4 gのプロテインを摂取している人もいますが,まずは2gを目安に摂るのが良いかなと思います).それを,1回の摂取量が30g程度になる様に分割して飲むのが理想的です.
一日の食生活を考えた場合,先に述べたとおり,日本人はどうしても炭水化物が中心の食生活となっています.そのため,意識的にタンパク質を摂取する必要があります.
しかし,全てをサプリメントから摂取しようとすると,金銭的にも健康的にも良くないと個人的には考えています (ここが日本人のボディビルダーと海外のボディビルダーの大きな違いと考えています.海外のボディビルダーは食事からタンパク質を摂取しようという意識が大きいですが,日本人のボディビルダーはどうしてもサプリメントに頼っていると言うのが個人的な印象です).そのため,半分は食事から摂取し,半分はサプリメントから摂取するのが理想的かなと思います.
とは言うものの,余程の偏った食生活をしない限り,食生活において意識をすれば食事で必要なタンパク質量を満足することができます (すなわち,体重60 kg程度の人でいうと,60 gのタンパク質).そのため,あと半分をサプリメントから摂取すれば良い訳です.
さらに,自分の成長を促したい方は,今取っている食事を少したんぱく質多めにすることによって,一日に摂取するたんぱく質量を増加させることができますが,たんぱく質の過剰摂取は免疫低下を引き起こすため注意が必要です.
プロテインの摂取方法の例
プロテインの摂取方法の例として,例えば,以下の2つが一般的です.
- ゴールデンタイムでのプロテイン摂取:30-40 g
- 間食でのプロテイン摂取:20-30 g
ゴールデンタイムでのプロテイン摂取:30-40 g
プロテインの一番重要な摂取タイミングは,トレーニング直後30分以内です (いわゆる,ゴールデンタイムです.).
トレーニング直後は一番成長ホルモンの分泌が盛んであるため,その時間帯にプロテインを摂取することで効率的に筋肉を成長させようという考えです.
このときの摂取りょうは,もちろん,個人の体重によって異なりますが,通常は30-40 gを目安に摂取するのが良いでしょう.
間食でのプロテイン摂取:20-30 g
その他の方法として,間食にプロテインを摂取する方法もあります.
私が体重を増加させる時に用いている方法ですが,間食に糖質を摂取する際に一緒にプロテインを20-30g程度摂取します.そうすることにで,プロテインによって,お腹は膨れ,また,プロテインと糖質を一緒に摂ることによってタンパク質の吸収を促進させることができます.
また,減量期であるならば,その間食から糖質を抜きプロテインだけを摂取すると言う方法もありかなと考えています.基本的に,日本人の食生活は炭水化物の量が多く,タンパク質の量が少ないと言うのが一般的です.そのため,食事で摂取することが難しいならば,サプリメントから摂取しようと言う意図で,少しでもタンパク質の摂取量を増やすために完食をプロテインにしています.
プロテインの選び方
プロテインの種類
プロテインを選ぶ上で,最も重要なのがプロテインの種類です.
プロテインの種類は極めて多岐に渡ります.基本的には,プロテインの元になる食品(牛乳,ビーフ,豆,卵など)で分類され,最もオーソドックスな牛乳のプロテインであるホエイプロテインは精製度合いで,ホエイプロテインコンセントレート,ホエイプロテインアイソレート,CFMプロテインなどに分類されます.
基本的には,ホエイプロテインを選ぶのが一般的ですが,人によって合う/合わないがあるため,ホエイプロテインがどうしても身体に合わない人は別の種類のプロテインを試すのも有効です.また,乳糖不耐症の方は,ホエイプロテインコンセントレートを摂取すると好確率で腹痛にもなるため,その場合には精製度合いが高いホエイプロテインアイソレートを摂取する必要があるなどの注意も必要です.
泡立ち
プロテインを選ぶ上で,泡立ちは重要です.
プロテインの泡立ちは,基本的には,ナチュラルのプロテインで,価格が安い製品において酷い傾向があります.ただ,それも必ずしも正しいわけではなく,製品によっては味が付いていても泡立ちしやすいもの,価格がある程度するものでも泡立つものもあります.
泡立ちの程度もさまざまであり,泡立ったらすぐ消えるものもあれば,泡が恒常的に存在し続けるものもあります.
泡の部分を飲んだから問題が発生するわけではありませんが,口の周りが汚れる原因になったり,特に,ナチュラルの場合には飲みにくいと感じる原因にもなるため,個人的には泡立ちが少ないものがおすすめです.
溶けやすさ
プロテインを選ぶ上で,溶けやすさは重要です.
プロテインは,特に安価なものほど,溶けにくい傾向があります.溶けにくいというのは,そもそもシェイカーでシェイクしても混ざらないことに加えて,飲んだ後にダマになって残っていることを指します.
このようになる場合には,もう一度,水を入れてシェイクする必要があることから,水を摂取する量が多くなり,人によってはお腹が緩くなる原因や,お腹が膨れて食べ物が食べれなくなる原因にもなります.
このことから,基本的には,溶けやすいプロテインがおすすめです.
品質
プロテインを選ぶ上で,品質は重要です.
近年では,非常に多くのプロテインが販売されており,アミノ酸と比較すると,プロテインの品質は大きな差があるわけではありません.ただ,日常的に摂取し,かつ,1回で摂取する量も多いことから,できるだけ,品質が高いものを選ぶようにしまs¥おう.
価格
プロテインを選ぶ上で,価格は重要です.
一昔前までは,プロテインは限られたブランドしか販売されておらず,海外ブランドの方がお得であることが多かったですが,近年では,新興ブランドが多く出てきて,その価格競争は熾烈になっています.当たり前ですが,小ロッドで購入すると価格が高く,大ロッドで購入すると価格が安い傾向があるため,日常的に使用する人は大ロッドで購入するのがおすすめです.
終わりに…
トレーニングを始めたての方は,まずは「トレーニング直後30分以内に30g程度のプロテインを摂取する」という習慣をつけましょう!
また,それができてさらに筋肥大をさせたいと言う方は,体重1kgあたり2g程度のタンパク質を摂取するようにしましょう!
そこからさらに成長したいと言う方は,普段の食生活を見直して,タンパク質の量ができるだけ多くなる様な食事を心がけましょう!