トレーニング前,中,後で,おすすめのサプリメントは多くありますが,個人的に身体を大きくする上で一番重要なのは炭水化物であると考えています.
トレーニング直後にプロテインを摂取することは一般的ですが,炭水化物の摂取についてはあまり一般的に認知されていない様に思います (むしろ,「ケトジェニック」に代表される様に炭水化物って結構「悪者」のイメージですよね…).
今回は,そんな一般的には「悪者」のイメージが強い炭水化物の効果的な活用法について皆さんに公開します!
炭水化物とは
炭水化物は,脂質,タンパク質と並ぶ三大栄養素の一つです(トレーニング界隈では,炭水化物が「carbohydrate」と表記されることから,「カーボ」と呼ばれることも多いです.).
炭水化物は,消化吸収される「糖質」と,消化吸収されない「食物繊維」に大別することができます.糖質は,「単糖類」,「少糖類」,「多糖類」に分類することができ,単糖類はは,ブドウ糖,果糖,ガラクトースなどで、二糖類はショ糖,乳糖,麦芽糖,多糖はデンプン,グルコースが分類されます.
炭水化物というと,どうしても日常的に摂取するような米やパンを考えがちであり,これは間違っていません.ただ,炭水化物は後述するようにトレーニング中にも摂取することが有効であり,米やパンなどをトレーニング中に摂取することは難しいです.この問題に対して,炭水化物はサプリメントとしてもトレーニーの間で広く受け入れられています.
炭水化物サプリメントの種類
炭水化物は多くありますが,その中でサプリメントとして広く受け入れられているのが多糖からできたデキストリンです.デキストリンは,大別してマルトデキストリンとクラスターデキストリンがあります.
マルトデキストリン(MD)
マルトデキストリン(Maltodextrin,MD)は,じゃがいもやトウモロコシなどのでんぷんを分解して作るものであり,一般的には粉飴として受け入れられています.
マルトデキストリンの特徴は,価格の安さと摂取したときの急激な血糖値の上昇です.
血糖値が急激に上昇するということは,脳からこれ以上食べ物を受け付けない指令が来るということであり,このため,マルトデキストリンは摂取するとお腹に溜まるような感覚があります.また,血糖値の急激な上昇は,普段使いすると太る原因にもなるため注意が必要です.
一方,原材料が安いため,価格が安く,基本的に価格が安い炭水化物はマルトデキストリンと考えて差し支えないでしょう.
マルトデキストリンは,トレーニング前,後のタイミングでおすすめです.
クラスターデキストリン(CD)
クラスターデキストリン(Cluster Dextrin,CD)は,ワキシーコーンスターチを環状化および分解することで作成します.
クラスターデキストリンの特徴は,価格の高さと摂取したときの緩やかな血糖値の上昇です.
血糖値が緩やかに上昇するということは,脳からこれ以上食べ物を受け付けない指令が来にくいということであり,このため,クラスターデキストリンは摂取するとお腹に溜まるような感覚があまりありません.また,血糖値の急激な上昇は,普段使いすると太る原因にもなるため注意が必要です.
クラスターデキストリンは,トレーニングの全てのタイミングでおすすめですが,特にトレーニング中の摂取がおすすめです.
トレーニングにおける炭水化物の効果
炭水化物は一言で表すならばエネルギー源です.お腹が空いた状態,すなわち「エネルギーが不十分な状態」だと十分な筋合成が起きません.
以下では,トレーニング前,中,後のエネルギーの必要性について説明します.
トレーニング前,中における炭水化物の効果
トレーニング前,中にお腹が空いていると筋肉が分解されてしまいます.したがって,トレーニング前にしっかりとした食事を取ることが重要であり,それが場所/時間帯によっては難しい場合,炭水化物をサプリメントとして摂取します.
トレーニング中は,筋肉が同化 (=筋肉の合成)と異化 (=筋肉の分解)を同時に引き起こしています.すなわち,トレーニング中にエネルギー源がないと,筋肉がエネルギー源として使われてしまい,筋量が減ってしまいます.
したがって,筋肉の同化作用を促すために,トレーニング前・中に炭水化物を摂取することで,筋肉の異化作用を防ぎ同化作用を優勢にさせます (イメージとしては,バケツに水を入れる際にバケツの穴を防ぐのが炭水化物の役割と思うとわかりやすいと思います.).
トレーニング後の炭水化物の効果
トレーニング後には,ゴールデンタイムを利用して,プロテインと同時に炭水化物を摂取することで効率的に筋肥大を図ります.
トレーニング後に炭水化物を摂取する理由としては,以上で述べた様な異化作用を防ぐと言う役割ももちろんありますが,タンパク質の吸収を促進させると言う役割もあります(みなさん聞いたことがあると思いますが,トレーニング後の30分以内はゴールデンタイムと呼ばれ,特にその時間にプロテインを摂取することが重要であると言われています.).
このときに,炭水化物を同時摂取することで,インスリンが分泌され,これによりタンパク質の吸収を促進させます (非推奨ですが,インスリンはそれ自体がサプリメントであることから分かる通り,筋肥大という観点では非常に強力な物質になります.).つまり,身体を大きくする場合,ゴールデンタイムには,タンパク質だけではなく,炭水化物の同時摂取が強く推奨されます.
炭水化物はどんな人におすすめか
炭水化物は,ダイエットをしている人以外におすすめです.
炭水化物は,前述したように同化作用を促進することから,特にサイズアップしたい方におすすめです.筋トレをしているということは,筋肉のサイズアップを図るために実施していることから,筋トレをしている人には基本的に炭水化物はおすすめです.
その一方で,炭水化物は,増量する原因にもなるため,ダイエットをしている人には「積極的には」推奨されません.ただし,炭水化物を摂取しないことを推奨しているわけではなく,炭水化物を減らすよりは,まず脂質を減らし,最終的に炭水化物を減らすようにしましょう.
トレーニングにおける炭水化物のおすすめの摂取タイミングの例
炭水化物の摂取タイミングですが,前述した通り,トレーニング前,中,後に摂取するのが好ましいです.
摂取量としては,個人によりますが,例えば,私は25 gを目安として,バテやすいトレーニング中での摂取量を増やして摂取しています.
私は以下の様に炭水化物を摂取しています.
- トレーニング前: 約25g
- トレーニング中: 約35g
- トレーニング後: 約25g
以上はサプリメントとして摂取している量であり,トレーニングする時間によってはトレーニング後に食事をするため実際はより多くの炭水化物を摂っています.
炭水化物は,米やパンと言った穀類由来の食べ物に多く含まれています.すなわち,おにぎりやサンドイッチと言ったものが最も手軽に手に入る炭水化物源です (余談ですが,ジムでバナナを食べている人が多いのは,バナナが炭水化物が豊富に含まれているためです).
したがって,トレーニング前と後は以上の様な食べ物があればサプリメントなしでも大丈夫なのですが,トレーニング中は困ります (流石にジムの中でトレーニング中におにぎり等を食べるのは憚られますよね).
そのために,トレーニング中の炭水化物の摂取方法についてはサプリメントによる摂取が推奨されます.
トレーニング前,中,後の炭水化物で太らないのか
炭水化物は確かに体重が増えるという側面があります.
しかし,炭水化物を摂取しないと筋肉の合成が起こらないため,筋肉をつけたい方は炭水化物を摂取しなければなりません.これは,シェイプアップを目的としている方も同じであり,筋肉をつけないと基礎代謝が落ちてきて痩せにくくなるためです.
ダイエットをしている人の炭水化物摂取
炭水化物を減らすのは最後の手段です.
確かに,炭水化物のカロリー数は多いのですが、カロリー制限をするのであれば,朝食,昼食,夕食の3食をしっかり管理し,1gあたりのカロリー数が最大である脂質をまず減らすのが重要となります.
次に,炭水化物の一日の摂取量を一定に保ったまま,摂取タイミングを変えてみるなどして,極力炭水化物の摂取量を減らさないことが重要となります.
以上の方策を行って,体重が減らなくなった際に最後に行うのが炭水化物の量の調整であり,ダイエット初期の段階から炭水化物を減らさない様にしましょう.
サイズアップしたい人の炭水化物摂取
身体が大きくならないという方々は,摂取源にとらわれず摂取量を気にしながら炭水化物を摂取することが重要となります.
「そんなに食べれないよ」と言う人がいるかもしれませんが,1回の食事で大量の食事を摂取する必要はありません.むしろ,小分けにして,お腹が完全に空腹になる時間を少なくするのが推奨されます.
例えば,プロボディビルダーのJay Cutler(ジェイカトラー)は,1日に12食を食べて身体を大きくさせ,彼の一日で摂取する炭水化物の量は800-1200 gに上ったそうです.
炭水化物サプリメントの選び方
価格
炭水化物サプリメントは製品によって価格が大きく異なります.
一昔前までは,海外製の炭水化物サプリメントが安く,日本製の炭水化物サプリメントが高いという状態でしたが,近年では日本製のものでもお手頃価格のものが増えています.
また,前述したCDとMDで価格が大きく異なります.CDの方が汎用性が高いため,価格が高く,基本的には迷ったらCDがおすすめですが,価格が高いという問題があります.
CDかMDか
炭水化物サプリメントは,CDかMDか効果が異なります.
CDとMDを比較した場合の最大の差は,前述したように血糖値の上がりやすさです.CDの方が血糖値が上がりにくいため,汎用性が高いという特徴があります.MDも,使用する場面をしっかりと選ぶことができれば全く問題ないのですが,血糖値の上がりやすさを考慮してサプリメントを摂取するのは面倒であることに加えて,かなりの知識が必要です.
このことから,基本的にはCDを選ぶのがおすすめです.
溶けやすさ
炭水化物サプリメントは,製品によって溶けやすさが大きく異なります.
炭水化物サプリメントは,本当に溶けにくいものが多く,溶け残った炭水化物サプリメントは水飴のようにシェイカーに残る場合もあります.このようにならないためには,飲む前に入念にシェイクする必要があり,かなり面倒であるという問題があります.
これを防ぐためには,そもそも溶けやすい炭水化物サプリメントを選ぶ必要があり,よく調べる必要があります.
終わりに…
炭水化物は身体を大きくしたり,または絞ったりする上で重要な栄養素です.
実際に,コンテストに出場するボディビルダーは炭水化物の摂取タイミングや量によって体重をコントロールしている方が多いです.
炭水化物の摂取方法をしっかりと見極めることで,理想的な身体を手に入れるための近道になります.