ミスターオリンピアを史上最多タイの8連覇をしたRonnie Coleman (ロニーコールマン)のライバルの一人といえば,同じくミスターオリンピアを4度制覇したJay Cutler (ジェイカトラー)が挙げられます.
現役時代,両者ともにとんでもない仕上がりを披露していましたが,引退後,両者の間には健康面で決定的な差があると言えます.
今回は,ロニーコールマンとジェイカトラーが引退後,健康面で差が出てしまった理由について,往年の名選手の一人であるSamir Bannoutが指摘している動画を見つけたため,皆さんとシェアしたいと思います.
Samir Bannoutとは
Samir Bannoutは,1955年レバノン出身のプロボディビルダーです.身長は,170 cm,体重は88.5 kg-93 kgだったと言われています.
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彼は主に80年代に活躍した選手です.
彼は,World Amateur Championships 1979, Light Heavyweightクラスで優勝することでプロカードを取得します.
プロ転向した翌年1980年からミスターオリンピアに出場し,ミスターオリンピアには1980年から1984年,1988年から1992年,1994年までの11回出場し (1984年と1988年の間にブランクがあるのは,他団体であるWABBAのコンテストに出場したための処分である様です.),ミスターオリンピア 1983年で優勝するなど素晴らしい成績を誇っています.
彼の体重を見ると分かりますが,1990年台の選手と比較すると著しく体重が軽いことがわかります.彼がミスターオリンピアを制した1983年において,彼の体重は196 lbs (=88.9 kg)であり,これがオリンピアで制した選手の中で体重が200 lbs (= 90.7 kg)以内だった最後の選手です (ここから,オリンピアは,Lee Haney (リーヘイニー),Dorian Yates (ドリアンイェーツ)とサイズ重視の時代に入っていきます.).
Samir Bannoutがロニーコールマンとジェイカトラーについて語った動画
Samir Bannoutがロニーコールマンとジェイカトラーについて語った動画は以下です.
動画の作成元は,Old School Labs™です.
今回の動画の長さは1:46:46です.
引退後,ロニーコールマンとジェイカトラーの間に健康面で差が出ている理由
まず,Samir Bannoutは,ロニーコールマンが連覇を重ねている当時から彼のトレーニングスタイルについて心配していたことが述べられています.
We know he trained like a mad man. We know he was very powerful but, in my opinion, there should been a boundary where you know, ‘enough is enough, I look good, I won eight Olympia,’ what the hell. Then there’s life afterward
彼が狂ったようにトレーニングしていたことは知っています.彼はとてもパワフルでしたが,私の意見では「もう十分だ,私は立派に見えるし,オリンピアで8回優勝したんだからもういいじゃないか」というものでした.境界線があるべきでしょう.そして.その後の人生があるのだから.
ロニーコールマンと言えば,超高重量トレーニングを行うことで非常に有名であり,その反動で,引退後は合計14回もの手術を経験していました.この超高重量トレーニングは勝つために実施していましたが,それでも,当時のロニーコールマンのサイズ,仕上がりは圧倒的であり,「そこまでする必要があったのか」というのがSamir Bannoutの意見でしょう.
Ronnie is one of the most powerful people ever, So, I think like we said earlier, you don’t have to go crazy. Once you’re massive, and Ronnie was massive, but he just loved to kill the weight. That’s who he is
ロニーは最もパワフルな人物の一人だ.だから,さっき言ったように,クレイジーになる必要はないと思うんです.ロニーはすごいサイズがあるんだけど,体重を減らすのも好きなんです.それが彼なんです.
ロニーコールマンというと,サイズが非常にフォーカスされがちですが,実は仕上がりもとんでもなく良い選手でした.このため,体重を減らすのも非常に得意である一方で,その状態でも高重量のトレーニングを行っていたからこそ,関節が負荷に耐えられず,彼が多くの手術を経験することになってしまったことを暗に指摘しているのだと思います.
その一方で,ジェイカトラーは,ロニーコールマンに勝つために彼と同様のエクササイズを取り入れたことがありますが,自身には合わないとして,より軽い重量でトレーニングをするようになったというのは有名な話です.
つまり,両者の間にはトレーニング方法に決定的な差があり,これが引退後の現在の健康面での差を生み出してしまっているのでしょう.
終わりに…
ロニーコールマンの手術の原因は明らかに高重量トレーニングですが,今回,Samir Bannoutが指摘する「減量をした状態でのダイエット」という観点はこれまでになく,非常に新鮮であると感じました.