近年のフィットネスブームの火付け役となったのは,メンズフィジークであることは間違いありませんが,メンズフィジークは,多くのボディビルダーにとって批判の的となっているのも事実です.
今回は,Rich Gaspariがメンズフィジークが批判される理由について述べている動画を見つけたため,皆さんとシェアしたいと思います!
Rich Gaspariがメンズフィジークの批判について語った動画
Rich Gaspariがメンズフィジークの批判について語った動画ですが,以下になります.
動画の作成元は,Generation Ironになります.
Rich Gaspariは,皆さんが知っての通り,80年代を代表するボディビルダーの一人であり,彼はもちろん,フィジーカーではありません.
ただ,今回の動画の冒頭で彼は,「オリンピア 2020のメンズフィジークはチェックしていない」ということを述べています.実は,ボディビルダーの中で,メンズフィジークに対する批判,逆にメンズフィジークからボディビルディングに対する批判というのは結構多く,皆さんの中でも,数年前のデキスタージャクソンとジェレミーブエンディアの言い争いを覚えている方は多いのではないでしょうか.
ボディビルダーがメンズフィジーク競技に対して否定的な意見としては,様々なものがありますが,今回,Rich Gaspariが述べているのは「メンズフィジーク競技は面白みにかけるから」というものです.
それでは,なぜ,Rich Gaspariはメンズフィジークを面白みに欠けると判断しているのでしょうか.
Rich Gaspariが主張するメンズフィジークの問題点
Rich Gaspariが主張するメンズフィジークの問題点はポージングであると述べています.
メンズフィジーク競技ですが,ボディビルディングと比較して規程のポージングの種類が非常に少ないことが特徴にあります..実際に,FWJが規程しているメンズフィジークとボディビルディングの規程ポーズは以下の様になります (2021/02/20調べ).
- 規定2ポーズ(フロント、バック)
- フロント ダブルバイセップス
- フロント ラットスプレッド
- サイドチェスト
- バック ダブルバイセップス
- バック ラットスプレッド
- サイド トライセップス
- アブドミナル アンド サイ
- モスト マスキュラー
以上を見て見れば分かる通り,メンズフィジークはボディビルディングと比較してかなりポージングの種類が少ないことが分かるかと思います.
また,メンズフィジークのポージングは,その競技の特性上,力強さというよりはたたずまいを重視する傾向があります.これは非常に表現が難しいのですが,メンズフィジークのポージングはボディビルディングでのポージングと比較して,動的な要素が少ないということになります.
そのため,ボディビルディングでは,ポージングをする際に「どの様なプレゼンテーションをするか」ということが非常に重要となりますが,その一方で,メンズフィジークはそもそも,静的な動作が多いため「ポージングでのプレゼンテーション」という側面がボディビルディングよりも少なくなります.この点が,Rich Gaspariはメンズフィジークが面白みに欠けてしまっている点であると述べており,多くのボディビルダーがメンズフィジークに批判的なのはこの様な要因が根底にあるのではないかと考えられます.
ただ,動画上で,Rich GaspariがSadik Hadzovicの話を引用していることからも分かる通り,ポージングでのプレゼンテーションができないことから,メンズフィジークの方が競技としては難しいと感じる選手も多い様です.これは,ボディビルディングの様な特定のポージング状態でジャッジすることから,たたずまいから身体の凄さが分かる様な肉体を作る必要があり,これが,メンズフィジーク競技で近年問題となっている「腕,肩の必要以上の発達」ということに繋がってくるのでしょう (特定のポーズを取らなくても腕,肩は発達していることが分かりますもんね.).
終わりに…
メンズフィジークがこれだけポージングの種類が少ないのは,そもそも,当初はメンズフィジークのコンセプトが「海辺で一番格好いい男を決める」というものだったことに起因していると考えられ,そうなると,ここまでポージングが少ないことも納得できます (これだけポージングが少ないからこそ,伝統的なボディビルディングのイメージが少なく,若者から人気を獲得できたという言い方もできると思います.).
ただ,近年では,皆さんも知っての通りメンズフィジークは競技としてもかなり成熟しており,また,競技者の身体も当初のコンセプトとは大きく異なる趣向に移行していると思われます.
となると,もう少しポージングを増やしてもいいのかなと個人的には思ってしまいます.