ミスターオリンピア 1980でアーノルドが悪かった根本的な原因

ミスターオリンピア 1980 アーノルドシュワルツェネッガー

ミスターオリンピアを7度制したArnold Schwarzenegger (アーノルドシュワルツェネッガー)は,実は,そのタイトルの中でいくつかジャッジが議論を呼んでいたこともある選手でもあります.

今回は,アーノルドシュワルツェネッガーが優勝したものの,議論を呼んだジャッジと言われているミスターオリンピア 1980について,往年の名選手の一人であるSamir Bannoutが指摘する動画を見つけたため,皆さんとシェアしたいと思います.

Samir Bannoutとは

Samir Bannoutは,1955年レバノン出身のプロボディビルダーです.身長は,170 cm,体重は88.5 kg-93 kgだったと言われています.

彼は主に80年代に活躍した選手です.

彼は,World Amateur Championships 1979, Light Heavyweightクラスで優勝することでプロカードを取得します.

プロ転向した翌年1980年からミスターオリンピアに出場し,ミスターオリンピアには1980年から1984年,1988年から1992年,1994年までの11回出場し (1984年と1988年の間にブランクがあるのは,他団体であるWABBAのコンテストに出場したための処分である様す.),ミスターオリンピア 1983年で優勝するなど素晴らしい成績を誇っています.

彼の体重を見ると分かりますが,1990年台の選手と比較すると著しく体重が軽いことがわかります.彼がミスターオリンピアを制した1983年において,彼の体重は196 lbs (=88.9 kg)であり,これがオリンピアで制した選手の中で体重が200 lbs (= 90.7 kg)以内だった最後の選手です (ここから,オリンピアは,Lee Haney (リーヘイニー),Dorian Yates (ドリアンイェーツ)とサイズ重視の時代に入っていきます.).

Samir Bannoutがミスターオリンピア 1980について回顧した動画

Samir Bannoutがミスターオリンピア 1980について回顧した動画は以下です.

動画の作製元は,Old School Labs™です.

動画のサムネイルは, 左からNick Trigili,Samir Bannout,John Hansenです.

今回の動画の長さは2:08:09です.

ミスターオリンピア 1980ではアーノルドシュワルツェネッガーはチャンピオンに値しなかった

ミスターオリンピア 1980でのアーノルドシュワルツェネッガーのコンディションについて指摘する前に,John Hansenはミスターオリンピア 1980の舞台裏について指摘します.

Arnold started training hard and the story was Franco and some of his friends were like, ‘man, you should just do the Olympia, you’re not promoting it this year, go win it, you know.’ So, Arnold didn’t tell anybody, and people were asking him, ‘are you doing the Olympia?’ and he was like, ‘no I’m just doing commentary for CBS television.”

“He flies over there, and the day of the contest, they have a competitors meeting… and he shows up. And everybody is like, ‘what the f–k,’”

アーノルドはハードなトレーニングを始め,フランココロンボと彼の友人たちが,「オリンピアに出ろよ.今年はプロモーターではないんだから,出場して優勝してきなよ」と言ったという話です.だからアーノルドは誰にも言わずにいたんです.「オリンピアに出場するのか」と聞かれたけど,「いや,CBSテレビの解説をやっているだけだよ」と答えていたんです.

「コンテストの日に出場者のミーティングで彼が現れたんです. それで,みんな「なんだこれは!」と思ったです.

アーノルドシュワルツェネッガーは,1970年代後半はオリンピアのプロモーターとして活躍しており,ミスターオリンピア 1980に出場するということは直前まで知られていなかったのでしょう.だからこそ,本番のアスリートミーティングで彼が現れたときには,恐らく多くの人が驚いたと推察されます.

当時,アーノルドシュワルツェネッガーは,4年ものブランクがあったため,実際に仕上がりは悪かったとSamir Bannoutは指摘します.

People don’t understand exactly why Arnold came in a little bit off [for 1980 Olympia]. Arnold had an issue with his rotator cuff — the doctor ended up giving him Cortisone. He got injections in his shoulders, eventually, this backfired. Arnold is not used to taking much – Arnold never really abused,

On that day… I believe, now according to Arnold, which people don’t know about this issue… so Arnold wasn’t really Arnold. He didn’t peak properly. Part of that is the Cortisone shots he ended up taking in his shoulders. It affected his chemistry somewhat. It made him retain water more than usual.

ミスターオリンピア 1980の当時,アーノルドはなぜ少し調子が悪かったのか,みんなよく知らないんです.彼はローテーターカフに問題があって,結局,医師は彼にコルチゾンを投与したんです.肩に注射をしたのですが,結局,これが裏目に出てしまったのです.アーノルドはあまり薬を飲む習慣がなかったのです.

あの日,今,アーノルドによると、みんなこの問題について知らないんだけど,だから,アーノルドは本当のアーノルドじゃなかったんです.彼はピークをきちんと迎えていなかったのです.肩にコルチゾンを注射したせいもありますが,彼の身体の生理反応化に影響を与えました.通常より水分を多く保持するようになりましたからね.

コルチゾン注射は,抗炎症作用の働きがある注射のようですが,それがアーノルドシュワルツェネッガーの身体が「水っぽく」なってしまった理由かどうかは本当のところ定かではありません.Samir Bannoutは,「水っぽく」なることで,アーノルドシュワルツェネッガーの身体の凹凸感が無くなったことを指摘しており,それは,言い換えれば,彼が注射をする前までは良かったということです.

ただ,彼がコンテストまで4年近くあったことを考えると,むしろ注射が直接的な原因な気がしないような気もするのですが,実際に当時の様子を知るSamir Bannoutが言うということは事実なのでしょう.

終わりに…

このアーノルドの一件というのは,一度,コンテストの運営に関わってしまった選手がもう一度そのコンテストに出場する上で,平等性を担保するのが難しくなってしまっていることを端的に表しています.

当時のアーノルドは,プロモーターとして活躍していたからこそ,コンディションの悪かったミスターオリンピア 1980でも優勝できたと指摘する人もおり,実際,その可能性はかなり高そうですよね.

関連記事