Milos Sarcev (ミロス)は,日本人のプロボディビルダーである山岸秀匡選手のコーチであることから,最近では,日本でも認知度が高まっていると思います.
そんなミロスは,当然,コーチとして世界的に非常に有名なのですが,同じくトレーニングの世界的に非常に有名で,かつ,”曰く付き”のトレーナーであるChad Nichollsに対する見解をミロスが述べている動画を見つけました.
今回は,その動画を皆さんとシェアしたいと思います.
Chad Nichollsに対するミロスの見解の動画
ミロスのChad Nichollsに対する見解について述べている動画は以下になります.
動画の作成元は,Generation Ironになります.
今回の動画の主題は,ステロイドとプロボディビルダーです.その中で,以下が述べられています.
- ステロイドどプロボディビルダーの関係
- コーチの役割
- Chad Nicollsに対する見解
ステロイドどプロボディビルダーの関係
まずは,ステロイドどプロボディビルダーの関係について述べています.
基本的に,IFBBプロリーグの選手になると,ステロイドを使用することが暗黙的に了解されていますが,「ステロイドが健康に対して悪影響を与えていることは確か」です.多くの選手は,コンテストで勝つためにステロイドを服用しますが,多くの選手はステロイド過多になっている様です.また、ステロイドは摂取する際に,オンサイクルとオフサイクルがあるのですが,そのサイクルに関して健康に悪影響が出るようなサイクルの取り方が蔓延している様です.
この問題は,インターネットが過度に普及したのが影響で,過去の選手のプロトコルがインターネット上にそのまま存在しており,それを鵜呑みにしているからこそ生じる問題なのでしょうね.インターネット上に存在している情報は,過去に成績を残した選手のものであり,特に90年代からはボディビルで選手の巨大化が進んだため,それによりステロイドの摂取も増加しているはずであり,それらの情報を鵜呑みにする選手が多いということなのでしょう.
コーチの役割
次に,コーチの役割について述べています.
コーチは,基本的には,トレーニングメニュー,ダイエットの管理,コンテスト直前の仕上げがメインの仕事になると思いがちですが,ミロスの今回の話を総合すると,ドラッグに対する正しい知識を持っている必要があるということも言えると思います.
前述した通り,多くの選手が健康を害するレベルでのステロイド使用を行っているケースが目立ち,選手の健康を維持するというためにもコーチは正しい知識を持つ必要があります.また,そもそも,ステロイドは医薬品であることから,医師免許を持たないコーチがその使用を勧めるならば,ステロイドが両局面性を理解した上で,責任を持つことが重要であると思います.
Chad Nicollsに対する見解
最後は,Chad Nicollsに対する見解について述べています.
多くの人はChad Nicollsは,自身のクライアントに対して,必要以上のドラッグ摂取を推奨し,それによりクライアントの健康状態を崩しているとChad Nicollsを批判していますが,ミロスはChad Nicollsを擁護する立場の様ですね.
その理由としては,ボディビルディングが極限競技であり,カロリー制限等を行っていることから,ステロイドの副作用により疾病を引き起こし易いためだと考えている様です.そのため,もちろんトレーナーにはクライアントの健康状態を維持・管理する責任はありますが,最終的な疾病になるとそれは個人の問題であるというスタンスなのでしょう.
そもそも,ボディビルディングをすること,ステロイドを摂取するという時点で,選手にも責任があるため,全ての責任をコーチが負うというわけではないと思います.
終わりに…
今回の動画を見ながら,ボディビルディング界でのステロイド汚染は確実に進行しているのを再確認するとともに,コーチと選手の関係性はやはり難しいものがあるのだと再確認しました.
ミロスが主張するのは一理あり,コーチが選手の健康の全てを網羅するということは不可能であり全ての責任をコーチが負うというのは確かに不可能な話かもしれません.ただ,Ronnie Coleman (ロニーコールマン),Flex Wheeler (フレックスウィーラー),Dallas Mccarver (ダラスマッカーバー)等,Chad Nichollsのクライアントが重大な疾病を抱える,もしくは亡くなるというケースが頻発しているのも事実であり,それを考慮するとChad Nichollsがクライアントの健康管理を怠っているという側面を否定するのは難しいのではないでしょうか.
ただ,選手としてはそれを知った上でChad Nichollsをコーチとして迎え入れているわけであり,それを考えると,選手もそのリスクを知っていると考えられ,なんとも複雑ですね.