ベンチプレス競技には,ギア有り (Equipped bench press = フルギア)とギア無し (Raw bench press = ノーギア)というものがあります.
やはり,世界記録で大きなニュースになるのは,同義に頼らないノーギアのベンチプレスになりますが,やはりフルギアのベンチプレスは規格外の重量を持ち上げるということで非常にロマンがありますよね.
今回は,フルギアのベンチプレスで世界記録が更新されたというニュースが入ってきたため,皆さんとシェアしたいと思います.
おさらい:ノーギアベンチプレスとフルギアベンチプレスの違い
ベンチプレス 競技には,フルギアとノーギアという競技があり,どちらの競技かで厳密に体に装着することのできるサポート道具が厳密に決められています.
フルギアでは,以下に示すベンチプレスシャツというサポート道具の着用が認められています.
これが何が違うかというと,肩の動きをサポートするという点です.やはり,ベンチプレスはウェイトリフターでも肩を痛めやすい種目であるため,超高重量を扱う際にはこの様なベンチプレスシャツを着用して肩への負担を少なくします.
また,ベンチシャツを着用することで,”窮屈感”を意図的に作り出すことが可能であるため (これは高重量を挙げた経験のある人ならわかります.),これにより高重量を扱えると考えられます.
フルギアベンチプレス世界記録更新
ギア有り ベンチプレス世界記録更新のニュースですが,以下が情報源になります.
動画の作成元は,大人気筋トレyoutubeチャンネルのNick’s Strength and Powerになります.
今回の世界記録を更新した選手は,Will Barottiという選手です.その記録ですが,なんと1105ポンド ( =約501.2 kg)になります.それまでの記録がTiny Meekerの1102ポンド ( = 約499.9)ですので,1 kgちょっとの更新になりますね.
この501.2 kgという数値ですが,今回紹介した動画でも紹介している通り,以前ノーギアのデッドリフトで世界記録を更新したHafthor Bjornssonの記録が501 kgであるため,それと同等であるということが分かります.一般的には,デッドリフトで上げることができる重量をベンチプレスで上げることがほぼ不可能ですので,ギアありではありますが,今回の重量がどれだけ凄いか分かります.
フルギアのベンチプレスの世界記録としての価値
今回のフルギアでのベンチプレスの世界記録更新について,インターネット上の反応を見てみると,驚くほど否定的な意見が多いです.
これは,やはり,ベンチプレスシャツによって身体の機能が必要以上に補助されているということが理由であり,「それを本人の実力として認めて良いのか」という意見からであると思います.また,この世界記録を実施した時期が,Julius Maddoxがノーギアベンチプレスの世界記録に挑戦したのに合わせて行ったかの様な印象を受けるため,なおネットでの反応が悪いのでしょうね….
私個人の意見としては,フルギアでも誰でもベンチプレスで500 kgは上がるわけではないため記録としては価値はあると思いますが,ノーギアのベンチプレスの世界記録と比較するとその価値というのは,やはり低いかなという印象があります.
また,私も今回の記録更新の動画を見ていて感じたのですが,今回の記録を果たして世界記録として認めて良いのか疑問があり,それが以下の写真から言えることです.
この向かって右側の人ですが,終始,バーベルを補助していることが見て取ることができます.
確かに,500 kgを超えるバーベルが身体の上に落ちてきた場合,ノーギアのベンチプレスで約360 kgの挑戦を失敗してしまったJulius Maddoxの例からも分かる通り,大怪我をする危険があるため,それを防ぐ目的であるというのは分かるのですが,終始補助している記録を本人の記録として扱って良いのでしょうか.
私は,フルギアの競技に精通しているわけではないためよく分かりませんが,「これを世界記録として認めるのはどうなんだろう」というのが率直な意見になります.
終わりに…
実際,調べてみると,フルギアの選手がノーギアでも強いのかというと必ずしもそうではなく,反対もまた然りの様です.そのため,各々記録として認めるということが必要であることが分かります.
ただ,今回の記録については,個人的には釈然としないんですよね….