ベンチプレス競技には,ギア有り (Equipped bench press = フルギア)とギア無し (Raw bench press = ノーギア)というものがあります.
ベンチプレスの世界記録というと,多くの人がノーギアのベンチプレスを想像しますが,実はそれとは別に,フルギアのベンチプレスの世界記録というものも存在します.
そんなフルギアのベンチプレスの世界記録ですが1120 lbs (= 約508 kg)に到達した様です.
今回は,この情報を皆さんとシェアしたいと思います!
おさらい:ノーギアベンチプレスとフルギアベンチプレスの違い
ベンチプレス 競技には,フルギアとノーギアという競技があり,どちらの競技かで厳密に体に装着することのできるサポート道具が厳密に決められています.
フルギアでは,以下に示すベンチプレスシャツというサポート道具の着用が認められています.
これが何が違うかというと,肩の動きをサポートするという点です.やはり,ベンチプレスはウェイトリフターでも肩を痛めやすい種目であるため,超高重量を扱う際にはこの様なベンチプレスシャツを着用して肩への負担を少なくします.
また,ベンチシャツを着用することで,”窮屈感”を意図的に作り出すことが可能であるため (これは高重量を挙げた経験のある人ならわかります.),これにより高重量を扱えると考えられます.
フルギアベンチプレスの世界記録,508 kgに
フルギアベンチプレスの世界記録,508 kgになったという情報ですが,以下のインスタグラムの投稿によります.
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この記録ですが,ペンシルベニア州ヨークで開催された IPA Strength Spectacular meetというコンテストにて,Jimmy Kolbという選手が記録しました.驚くべきことに,まだ31歳ということで,まだまだ記録が伸びる可能性があります.
調べてみると,彼は2021年になってから急速に記録を伸ばしている様であり,2021年に入ってから自身の記録である1050 lbs (= 約476 kg)を破る1080 lbs (= 約490 kg)を記録しており,世界記録の更新は秒読みとされていました.
この1080 lbsを記録してから,5ヶ月程度で40 lbsの記録を更新し,従来までのWill Barottiが記録した世界記録だった1105 lbs (= 約501 kg)を更新しました.
フルギアベンチプレスの世界記録についての正直な感想
今回,フルギアのベンチプレスの世界記録が更新されたということですが,個人的には,やはりフルギアベンチプレスの世界記録については懐疑的です.
まず,一点目として,ローギアのベンチプレスを見慣れすぎていて不自然に思うのが,胸につけてから上げていないということです.
比較として,Julius Maddoxのベンチプレスを掲載すると以下のようになっています.
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このベンチプレスを見ればわかる通り,しっかり胸につけてから挙げていることから,きちんと上げている印象が強いのですが,先に掲載したフルギアベンチプレスの場合,シャフトと胸の間にクリアランスを確認することができます.
私はフルギアのベンチプレスを実施したことがないため,良く分からないのですが,もしかすると,胸につけるまで下げることができないのは,ベンチプレスシャツの形状由来なのかもしれません.そのため,挙げるポイントで外から号令がかかる様にして挙げているのですが,これも「なんだかなぁ」と感じてしまいます.
次に,フルギアベンチプレスの世界記録ともなると,500 kgを超えるため,失敗したときに備えて,ベンチプレス台の周りに補助のために大量の人員が配置されるのですが,ベンチプレスの動作中にこの人達が本当に補助をしていないのかが疑問です.
恐らく,世界記録と言っているからには,周りの人は補助をしていないことになるのですが,なんか透明性に欠ける様な気がしてなりません.
終わりに…
確かに,常人の場合ですと,たとえベンチプレスシャツを着用しても500 kgを超えるベンチプレスを実施することは不可能に近いということはわかるのですが,フルギアのベンチプレスの世界記録更新のニュースを見るたびに,なんだか釈然としない気持ちになります.
扱っている重量の問題上,私が釈然としない原因となっている事柄というのは,どうしても排除することができないことになるのですが,中々,難しい問題だと思います.