筋トレをする上で,最初の段階で理解すべき事柄に「ネガティブ意識」と「ポジティブ意識」ということがあります.
これらは,非常に単純なテクニックですが,きちんとトレーニングにとりいれている人は実は意外と少ないです.
今回は,「ネガティブ意識」と「ポジティブ意識」の2つの意味について公開したいと思います!
「ネガティブ意識」「ポジティブ意識」を知る前に
「ネガティブ意識」,「ポジティブ意識」の言葉の意味を解説する前に,前提知識として知っておくべきことがあります.それは,重力の働きとトレーニングの関係についてです.
地球には,皆さんもご存知の通り,物には重力という力が働いており,これにより,ある高さにある物体は支えを無くすと落ちます.
これを筋トレに置き換えますと,例えばダンベルチェストプレスでは,ダンベルが落ちない様に支えることで種目として成り立っています.ダンベルチェストプレスでは,「ダンベルを上げる,下げる」種目になりますが,ダンベルを上げる際にはこの重力に逆らって仕事をする必要があり,逆にダンベルを下げる際には重力と同一方向に仕事をする必要があります.
この前者の動きを,通称,”ポジティブムーブメント”と言い,後者の動きを”ネガティブムーブメント”と言います.
「ネガティブ意識」とは
「ネガティブ意識」とは,ネガティブムーブメントを意識することを意味します.ただ,これは日本の俗語的な使われ方であり,海外のボディビルダーは「重りをコントロールする」という表現で表します.
基本的に,重力があるためある高さにある重りは落ち様とします.ただ,ネガティブを意識するということは,その落ち様とする重りを支えるということになるため,その分の力を必要とします.すなわち,ネガティブを意識するとその分トレーニングはきつくなりますが,トレーニングの質は格段に向上します.
例ですが,プレス系の種目が上手な人は,重りを下げるときの速度がゆっくりです.一方,下手な人は重りを下げるときに重力に任せて下げてしまうため,必然的にその速度が速くなっています.どちらの方が質の高いトレーニングをしているかは言うまでもなく,前者の方が質の高いトレーニングを行っていることになります.
「ネガティブ意識」というテクニックは非常に基本的なものですが,いざやろうとすると自分が意図した様な重量を扱うことができなくなるため,蔑ろにしているトレーニーは少なくありません.ただ,「ネガティブ意識」をするだけで,ほとんどの種目で「対象部位に効かない」という現象は起きにくくなるため,是非,初心者のうちから取り入れて頂きたいテクニックになります.
「ポジティブ意識」とは
「ポジティブ意識」とは,ポジティブムーブメントを意識することを意味します.
一般的に,トレーニングにおいてポジティブ動作が重要になることはさほど多くありません.ただ,意識として,重りを上げるときはゆっくり上げるのではなく,素早く上げ切ると良いということです.
基本的に全ての種目に適用することができますが,個人的にこの動作が最重要となるのはスクワット,レッグプレスであると感じています.ポジティブ動作のときに,スクワットは床をしっかり蹴る様にすると大腿四頭筋への負荷が高まり,レッグプレスも台を押す際にかかとから蹴り出す様な感覚をもつと効きが良くなる感じが特に強いです.そのため,個人的にスクワット,レッグプレスを行う際には積極的に取り入れています.
「ネガティブ意識」「ポジティブ意識」,どちらが優れているか
ネガティブムーブメントとポジティブムーブメントのどちらが優れているというのではなく,両者を取り入れることでトレーニングの効果を最大限に引き出すことが可能となります.
すなわち,重りの上げ下げを行う際には,「上げるときは速く,下げるときはゆっくり」という原則を守ることが重要となります.
ただ,トレーニングに慣れないうちは,ポジティブムーブメントで強い刺激を感じるということは難しいため,ネガティブムーブメントを意識してトレーニングを行うと効率が良いと思います.
以上のテクニックは,あくまでも基本であり,それを逸脱する方法としてポジティブムーブメントをわざとゆっくり行うとスロートレーニングという方法もあります.ただ,この方法は,あくまでも応用という位置付けであることから,まずは基本である「上げるときは速く,下げるときはゆっくり」ということを守ることができる様になりましょう.
終わりに…
今回解説した「ネガティブ意識」と「ポジティブ意識」は,特にフォームを固める際には重要視して頂きたい要素の一つになります.多くのトレーニング種目において,「効きが悪いな」と感じている種目は種々のテクニックを取り入れるのではなく,まずはこの様な基本的なテクニックを意識し直すことで劇的に改善するということは実は非常に多いです.
皆さんも,ネガティブムーブメントとポジティブムーブメントをしっかり意識できる様になることで,トレーニングのレベルを一段階も二段階も上げましょう!