トレーニング初心者にサムレスグリップが推奨できない理由

トレーニングを行う上で握り方 (=グリップ)は非常に重要であり，グリップによって効く，効かないが分かれる種目も多いです．

特にプッシュ系の種目では，対象部位に重さを乗せるためにサムレスグリップが推奨されることが多いですが，それについて，Arnold Schwarzenegger (=アーノルドシュワルツェネッガー)は異を唱えています．

今回は，アーノルドシュワルツェネッガーがサムレスグリップを推奨しない理由についてシェアしたいと思います．

おさらい：サムレスグリップとは

サムレスグリップとは以下に示す様に，サムアラウンドグリップから親指だけを外したグリップです．

サムレスグリップにすることで，握力をあまり使わずに重量を受けることができる様になります．そのため，対象部位に効果的に効かせることができます．ただ，握力で受けない分，手首で重りを受ける様になるため，手首に負担がかかりやすくなり，高重量のトレーニングでサムレスグリップを使うと怪我をしやすくなります．

サムレスグリップがおすすめの種目は以下の通りです．

スカルクラッシャー
バーベルナロープレス
ダンベルフライ
背中トレーニング全般

etc.

基本的に，胸，三頭筋の種目でプッシュする種目はサムレスグリップがおすすめです．いずれの種目もサムアラウンドグリップにすれば，高重量を扱いやすくなりますが，あえてサムレスグリップにすすることで，握力を使わない分，ボトムポジションでストレッチを感じやすくなるというメリットがあります．

また，背中トレーニングでも有効です．背中のトレーニングは，とにかく握力を使わないで背中で引く感覚が重要であるため，握力を積極的に使おうとしないサムレスグリップがおすすめとなります．

私は，サムレスグリップは多用します．理由としては，前述した通り，握力を使わないで対象部位に直に重りの刺激を乗せることができるためです．昔までは，高重量のベンチプレスを行う際にはサムアラウンドグリップを用いていましたが，今はもっぱらサムレスグリップですね．

アーノルドシュワルツェネッガーがサムレスグリップを推奨しない理由

アーノルドシュワルツェネッガーがサムレスグリップを推奨しない理由について，彼のサイトのニュースレターで述べていた様です．

今回，アーノルドシュワルツェネッガーがサムレスグリップの是非を議論する上で，彼がサムレスグリップa suicide grip (=自殺グリップ)と呼称しているのが非常に印象深いです (画像検索すると，a suicide gripでサムレスグリップがヒットするため，海外では比較的一般的なのかもしれませんね．)　．

アーノルドシュワルツェネッガーがサムレスグリップを推奨しない理由ですが，特に初心者レベルのトレーニーにおいて，サムレスグリップにより重りが落下して怪我をするリスクが高いためであると述べています．だからこそ，サムレスグリップを適用する際には，補助者がいる場合のみ実施することを推奨しています．

“But it is called the suicide grip for a reason. Only do this if you have a spotter with you, and make sure you have a real spotter, not someone looking at their Instagram while you unrack the weight.

“自殺グリップ “と呼ばれているのには理由があります．補助者が一緒の場合のみ行ってください．ウェイトを外すときにインスタグラムを見ている人ではなく，本物の補助者がいることを確認してください．

そもそも，サムレスグリップが良いとされている理由ですが，特にベンチプレスなどでは掌でダンベルやバーベルを握り易くなり，これにより，床に対して肘が垂直になる状態を作りだしやすくなるということや，握力で重りを支えなくなるということが挙げられます．

ただ，これは，特に重りをコントロールできていない初心者には危険であり，補助者がいない場合にはサムレスグリップを適用すべきではないことが述べられています．

以上の様に，サムレスグリップの危険性を述べるアーノルドシュワルツェネッガーですが，彼自身はサムレスグリップを使ってトレーニングをしていたことが以下の動画で確認することができます．