ここ数年のフィットネスブームの中で,最も胡散臭いサプリメントとして印象の強いものの一つに間違いなく,HMBが挙げられると思います.
今回は,そんなHMBの正しい効果について皆さんに公開します!
HMBとは
HMBは,正式名称は,3-ヒドロキシイソ吉草酸 (3-Hydroxy 3-MethylButyrate)と言います.HMBと言ってもぱっと印象に残りませんが,「ロイシンの代謝物である」と一言説明すると勘の良い人はどういう作用か想像がつくのではないでしょうか.
すなわち,HMBを摂取したいがためにトレーニーはロイシンを好んで摂取するのです.
HMBの効果
HMBの効果ですが,筋肉の分解 ( = 異化作用)の防止,筋肉量の増加 ( = 同化作用)が挙げられます (すなわち,一般的にロイシンの効果と言われているものと同じです.HMBがロイシンの代謝物である以上,当然と言えば当然ですが….).
サプリメントの多くは,筋肉の増強に関して間接的に効くというものが多いですが,HMBは筋肥大に直接作用します.しかも,異化作用と同化作用を共に有するとは非常に優秀なサプリメントとしか言いようがありません.
ロイシン直接摂取の問題点
ロイシンは,体内に入ると,2つの代謝経路を辿り,その中で5-10%のロイシンしかHMBに変換されません.すなわち,一般的なBCAAにはロイシンがだいたい2 g程度含有されているのが普通ですが,その中の5-10%,言い換えれば0.1-0.2 gしかHMBになりません.したがって,ロイシンを多く摂取しても,その多くが筋合成に直接作用する話ではない物質に変わるため,ロイシンを摂取するということはあまり効率的ではないということです.
その問題点を克服するために考えられたのが,ロイシンの代謝物質であるHMBを「直接摂取してしまおう」という考えです.こうすることで,ロイシン摂取時の無駄を省略して効率的にHMBを摂取することができます (HMBを直接摂取しているため,当然と言えば当然ですが….).
HMBの問題点
HMBの問題点は以下になります.
- (ものによって)非常に飲みにくい
- 商品による差が激しい
私は,そこまで多くのHMBを試してきたことがあるわけではないですが,飲んでいる色々な人の話を伺うとものによっては非常に飲みにくい様ですね.特に,粉タイプのHMBは注意する必要があるそうです.私もこの話を聞いていたため,HMBサプリメントを購入する場合には,できるだけピルタイプのものを選ぶ様にしています.
次に,お気づきの方もいるかと思いますが,商品間のレベルの差が非常に激しいです.よく,ネット広告でHMBサプリメントの広告がでてきますが,正直言って全く信用できません (そもそも,それらの広告の中には,HMBは筋肥大に効果があるのに「ダイエット効果あり」と謳っているものもあり,そういうことを言っている時点で演繹法が成り立っておらず,論理に飛躍があるということから信用なりません.).実際に,HMB含有量が非常に少ないのにもかかわらず,かなり値段が高いサプリメントも非常に多いです.
そのため,個人的には,きちんとしたメーカーから販売されているHMBサプリメントを購入されることを強くお勧めします (HMBに関しては,多くのサプリメントメーカーから販売されていため,自身が気に入っているところから購入するのが良いと思います.).
HMBのおすすめの摂取タイミング,量
HMBの摂取タイミングですが,基本的には,朝,昼,晩で摂取することを推奨している製品が多い気がします.これは,体内のHMB濃度を高めることで,常にアナボリック状態を保つという意図があるのと,一度に多量摂取すると体外に排出されやすいためだと思います.
ただ,HMBサプリメントは,量に対して値段が高いサプリメントであるため,金銭的な問題を抱えているトレーニーは特にトレーニング前に摂取するのが良いと思われます.HMBは摂取してから,数時間たってから体内での濃度が高まるため,トレーニング前に摂取しておけば,ゴールデンタイム時に強力なアナボリック状態になることが可能であり,そこでプロテインなどの各種サプリメントと合わせることでより筋肉量の増大を見込むことが可能となります.
量としては,一般的に,製品の推奨量を守るのが良いと思われますが,一般的に多いのが3g/日という表記ではないでしょうか.ただ,最近のカプセルタイプのものはそれ未満の気もするため,要は「製品によりけり」ということです.
終わりに…
HMBは非常に有用なサプリメントではありますが,例の胡散臭いサプリメントのせいで正当な評価をし辛いサプリメントであると思います.
皆さんも,HMBの正しい効果を理解してから服用する様にしましょう.