近年,IFBBプロのトップ選手が若くして亡くなる事例が増加しており,その議論のきっかけとなったのが2017年に若干26歳の若さで亡くなったDallas Mccarver (ダラスマカーバー)です.
今回は,トップコーチの一人であるHany Rambod (ハニーランボット)がダラスマカーバーについて語った動画を見つけたため,皆さんとシェアしたいと思います.
ダラスマカーバーとは
Dallas “Big Country” McCarverは,1991年アメリカ生まれのプロボディービルダーです.身長は約183 cm,体重はコンテスト時で115.7 – 120.2kgだったと言われています.
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ダラスマカーバーは,2012 IFBB North American Championshipsで優勝し,若干21歳でプロカードを取得します.当時,若干21歳でのプロカード取得は1987年のShawn Ray (ショーンレイ)以来の快挙だったようです.
プロ転向後は,2015 IFBB California State Proで優勝し,オリンピア 2015に初出場し,13位に入ります.
翌年,2016年は2016 Chicago プロで優勝し,2017年にはアーノルドクラシック コロンバスオハイオにて故Cedric McMillan (セドリックマクミラン)に次ぐ2位になります.
このため,2017年は,飛躍が期待されましたが,8月にこの世を去ります.
死因としては,冠状動脈硬化と左心室肥大が併発することで生じた心臓発作であると言われています.なぜ,冠状動脈硬化と左心室肥大が生じてしまったかについては,彼の家族が,そもそも高血圧と動脈硬化の両方を含む心血管系疾患を患いやすい家系であったことも事実であるようですが,多く指摘されているのが,彼のコーチだったChad Nichollsの「過剰な薬物サイクル」です.
実際,Chad Nichollsの作成したプロトコルが与えた影響を判断するのは難しいですが,この問題について,ダラスマカーバーのかつてのコーチであるハニーランボットは,間接的にではありますが,この問題について指摘しています.
ハニーランボットがダラスマカーバーについて語った動画
ハニーランボットがダラスマカーバーについて語った動画は以下です.
動画の作成元は,ハニーランボットのyoutubeチャンネルです.
今回の動画の長さは,1:05:05です.
今回の動画は,ハニーランボットが若年齢でのPEDs (Performance enhancing drug)の摂取を強く批判しているものですが,その中で,ダラスマカーバーについて述べています.
ハニーランボットが語るダラスマカーバーの過剰な体重増加
今回の動画では,ハニーランボットがダラスマカーバーのPEDsの過剰摂取による過剰な体重増加について指摘しています.
I worked with Dallas when he was only 255-pounds on stage. So, at the end of the day, when he passed away, the week he passed away he was 345-pounds. I wouldn’t let him get over 280-285. Again, he’s six foot plus. It’s one of those things, you got to try to stay within the confines of a certain thing. At the end of the day, what I really see now is just bigger is better and pushing the extreme and doing it as quickly as possible and all these things.”
ダラスと仕事をした時 彼はステージで255 lbsしかなかった.それで結局,彼が亡くなった時,彼は345 lbsだった.私は,彼に280~285キロを超えさせないようにしました.彼は身長が180cm以上ありますが,そういうものなんです.ある一定の範囲にとどまるようにしなければならないんです.結局のところ,私が今本当に見ているのは,大きいことは良いことであり,極限を押し広げ,できるだけ早くやること,そういったことなんです.
ダラスマカーバーがハニーランボットに師事していたのは2014年当時であり,2017年に亡くなる直前は前述した通り,Chad Nichollsに師事していました.つまり,この3-4年の間に,体重が90 lbs (=40.8 kg)増えたということになります.IFBBプロレベルでもこの体重の増え方は異常であり,これが前述した通り,彼の心臓に大きな負担をかけてしまったことは否定できません.
通常の食生活をするだけで,元々,体重が100 kg以上ある選手が,3年で体重が40 kg以上増えるためにはPEDsの使用が不可欠です.実際に,彼の亡くなった身体からは,微量ではありますが,いくつかのPEDsが検出されています.
Chad Nichollsに師事した選手の多くが,亡くなるが,重篤な後遺症が残ってしまっていることから,ダラスマカーバーについても,コーチである彼の責任を問うのは自然の流れだと思います.
終わりに…
ダラスマカーバーについては,多くの人が今後数年でオリンピアのタイトルを獲得すると予想していたため,彼の訃報は非常に衝撃的でした.
「コーチを変えずに,ハニーランボットのままならば…」と思うところであり,非常に残念です.