オリンピア 2020に向けて,世間ではボディビルディングにおけるライバル関係として,フィルヒースとブランドンカリーを当てはめる人が多い様です.
今回は,そんな二人について,彼らの長所,短所をまとめて行きたいと思います.
フィルヒースの長所,短所
まずは,フィルヒースについてです.
長所
フィルヒースのストロングポイントは,特に,「腕」,「背中」,「コンディションを外さないこと」にあると思います.
まず,腕に関してですが,フィルヒースの腕は相当に強いです.サイズだけで言えば,ローリーウィンクラーも非常に素晴らしいのですが,トータル的な腕の仕上がりを見るとフィルヒースも負けていません..
次に,やはり,フィルヒースの背中はレベルが違います.背中の広がりも素晴らしいのですが,なんといっても厚みが素晴らしく,蛇がいるかの如く仕上がる彼の背中に勝つのは非常に困難であると考えます.以下のバックのダブルバイセップスも素晴らしいでのすが,個人的には,やはり,ラットスプレッドが圧倒的だと思います.
さらに,フィルヒースは大きくコンディションを外しません.だからこそ,彼は7連覇を成し遂げたのであり,2年ぶりのコンテストなりますが全く侮れない選手になります.
短所
フィルヒースのウィークポイントは,ミッドセクションです.
これについては,長らく議論されていることであり,彼が2018年にショーンローデンに敗れたのはミッドセクションをコントロールできなかったためであると考えられます.フィルヒースのミッドセクションが崩れてきているのは,2016年あたりから顕著になってきており,彼が勝つ度に,「ミッドセクションがコントロールできていない選手がオリンピアを獲得するのは如何なものか」と議論になってきました.
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今回も,オリンピア 2020に向けて,そこまでミッドセクションが改善されていないという情報もあるため,8勝目を狙うならば,ミッドセクションが最大の課題となるでしょう (ただ,逆に言えば,部位に関しては全く弱点がないというのが彼のすごいところです.).
ブランドンカリー の長所,短所
次はブランドンカリーについてです.
長所
ブランドンカリーのストロングポイントは,上半身にあります.
上半身を見ると,サイズもさることながら,彼のウエストが非常の細いことが言えます.これが彼の最大の長所であり,サイズアップすると基本的にはウエストが太くなってしまうのですが,ブランドンカリーはしっかりとミッドセクションのマネジメントもできています.
T字とも形容される彼の身体の仕上がりは非常に素晴らしく,上半身の筋肉は厚み,広がり,密度をとっても最高でレベルにあると考えられます.
短所
ブランドンカリーのウィークポイントは,下半身にあります.
ブランドンカリーは,上半身が非常に素晴らしいこともあり,下半身のサイスが足りないということが良く言及されます.サイドポーズをとったときは,あまり気にならないのですが,特にフロントポーズをとったときに,外側広筋の広がりが乏しく,周りの選手と比較して脚が細く見えるという問題点があります,
この問題点に対して,ブランドンカリーは脚のトレーニングを精力的に行い,ポージングを見せるなどして改善をアピールしています.
ただ,このポージングもサイドポーズなので,実際に脚が改善しているのかどうかは判断が難しいところです.
フィルヒースとブランドンカリー の勝負を分けるのは
フィルヒースとブランドンカリーの勝負を分けるのは,両者の弱点をどれだけ改善できるかだと思います.
すなわち,「フィルヒースがどれだけミッドセクションを改善するのか」もしくは「ブランドンカリー がどれだけ脚のサイズアップをするのか」が極めて重要だと思います.ただ,ブランドンカリーの場合,ここ数年で脚はかなり改善されつつあること,近年のジャッジがミッドセクションの仕上がりを非常に重視することを考慮に入れると,フィルヒースの方がやや不利なのかなという印象があります (ただ,それでも,ミッドセクションを除いたフィルヒースの各部位の大きさ,仕上がりは他選手を凌駕していますから,判断が難しいところです.)
あとは,ジャッジがフィルヒースが挑む「8勝目」という数字をどの様に捉えているかという政治的な問題もあると思います.歴史上,ミスターオリンピアで8勝を挙げた選手はリーヘイニーとロニーコールマンしか存在せず,「8勝目」という数値を「神の数字」と考えている人も多いため,それをフィルヒースに与えるのかどうかという問題があります.
終わりに…
SNSを見ていると,オリンピア 2020に向けて激しい舌戦を繰り広げいている両者ですが,個人的にはブランドンカリーの方がやや有利かなという印象です.
ただ,フィルヒースが初優勝した2011年のパッケージを持ってくれば,間違いなくフィルヒースが勝つと思われますが….
2021/03/13追記:
オリンピア 2020において,フィルヒースとブランドンカリーの勝負という観点ではブランドンカリー が勝利しました.ただ,フィルヒースは自身のミッドセクションを改善することができず,ブランドンカリーもステージ上で見るとまだまだ,脚の改善が必要であることが示唆されていました.