ライアンテリーは,なぜ,オリンピア 2020で8位だったのか

メンズフィジークの競技者の中でも屈指の腹筋を持つRyan Terry (ライアンテリー)は,オリンピア 2016,2017,2018,2019で2,6,3,5位と非常に安定した強さを誇った選手になりますが,オリンピア 2020ではまさかの8位に終わりました.

ライアンテリーに何があったのでしょうか.

今回は,ライアンテリーが自身がオリンピア 2020で8位になってしまった理由を分析している動画を見つけたため,皆さんとシェアしたいと思います.

ライアンテリーがオリンピア 2020の準備に向けて語った動画

ライアンテリーがオリンピア 2020の準備に向けて語った動画ですが以下になります.

今回の動画の作成元は,Ryan Terry自身のyoutubeチャンネルになります.

今回の動画では,オリンピアに至るまで,オリンピア期間中の準備,オリンピア 2021に向けてについて語られています.

その中でも今回ピックアップしたいのが,彼がオリンピア 2020で8位と大きく順位を落としてしまった理由についてです.私個人としては,「メンズフィジークのジャッジ基準に明確な変化があったことが理由の一つかな」と感じていたのですが,どうやら,ライアンテリー自身が回顧すると8位になったのはそれなりの理由があったからだと捉えています.

ライアンテリーがオリンピア 2020で8位になった理由

ライアンテリーがオリンピア 2020で8位になった理由として,彼は大きく以下の二点を挙げています.

コンテスト直前に体重が200 lbs (= 約90.72 kg)を下回っていた

バックステージで例年のルーティンを実行できなかった

コンテスト直前に体重が200 lbs (= 約90.72 kg)を下回っていた

まず,述べられていることがコンテスト直前に体重が200 lbs (= 約90.72 kg)を下回っていたという点です.

そもそも,ライアンテリーは,例年この200 lbsを一つの指標としてコンテスト直前の準備を進める様であり,例年は,身体の水分などを考えて200 lbsを下回らない様になっていた様です.

ところが,2020年は,196-197 lbsと200lbsからやや下回ることがあり,これが彼自身に「例年と仕上がりが異なるのでは」という印象を与えてしまったのかもしれません (実際.3-4 lbs (1.36-1.81 kg)という我々からすると誤差範囲にしか思えない体重の差から自分自身のコンディションを判断できるというのがまた凄いですよね.).

バックステージで例年のルーティンを実行できなかった

次に述べられていることが,バックステージで例年のルーティンを実行できなかったということです.

ライアンテリーは,今回の動画の中でも述べている通り,コンディションで勝負をする選手であるため,バックステージでのルーティンも筋肉一つ一つを大きく見せるための準備ではなく,如何にしてコンディションを良く見せるかという準備のためにプッシュアップなどの自重トレーニングを例年はしていた様です.

一方,2020年は,ステージに上がる直前に,Brandon Hendrickson,Raymont Edmondsの肉体を見て,「自分の身体には厚さが足りない」と感じてしまい,通常では絶対に行わないデッドリフトやプル系の種目を行ってしまったと回顧しています.

この問題に対して,ライアンテリー自身も,サイズの勝負では他の選手と勝負をすることができないということを認識しており,この時点でサイズで勝負しようとしてしまっていることから彼の負けは決まっていたということを示唆しています.

ライアンテリーは,サイズで勝負をできないからこそ,筋肉を膨らんだ状態にするためのカーボローディングをほとんど行わず,あくまでも,筋肉のキレで勝負をするということを例年選択しており,本年もそれを選択していたと考えられます.そのため,それに付随して例年のバックステージルーティンを崩すべきではなく,この結果として,自分自身の肉体が「かすんで,少し水っぽかった」と述べています.

終わりに…

今回,ライアンテリーがバックステージでのルーティンを崩してしまった理由の一つに,コンテスト直前の体重が例年と異なり,何か自分の中で例年と異なる部分があったのを感じていたことが考えられます.

そうなってしまった理由には,2020年全体が新型コロナウイルスの影響で例年とは異なる生活を強いられたこと,ライアンテリーに子供ができて生活が大きく変わったことが述べられており,それが体重にして3-4 lbsの僅かな揺らぎにつながり,最終的には大きな歪みに繋がるという今回の例は,ボディメイキングが如何に繊細な競技なのかということを思い知らされました.

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