ダンベルを用いてプレス系の種目では,高重量のダンベルを手元に持ってくるため,On the knee (オンザニー)という,「一旦,膝の上にダンベルを持ってきて,膝の勢いを使ってダンベルを持ち上げる」というテクニックがあります.
一方,やはり危険性もあり,Charles Griffinが失敗してあわやの大事故となりました.今回は,この情報を皆さんとシェアしたいと思います.
Charles Griffenとは
Charles Griffenは,1982年アメリカ出身のプロボディビルダーです.身長は175cm,体重は約107-111 kgです.
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彼は2015 NPC Nationalsで優勝することでプロカードを取得し,翌年2016年の Ferrigno Legacy Proでは5位に入賞します.
躍進の年となったのが2018年であり,2018 Indy Proで2位, 2018 Muscle Mayhem Proで優勝することでオリンピアに初出場し,オリンピア 2018では13位に入ります.
ただ,翌年2019年はTampa Pro (タンパプロ)に出場し,7位と2018年の成績と比較すると物足りない成績に終わりました.
2020年から2021年は恐らくコンテストには出場しないでオフシーズンを設けることにより身体が大きく改善し,タンパプロ 2021には優勝候補の一人として数えられ,3位に入賞しました.
プロカードを取得するまでは,彼はびっくりするほどサイズがある選手ではなかったのですが,2021年にタンパプロに出場したときはそれまでと比較して筋密度がとんでもないことになっており,特に上半身は圧巻でした.
ただ,コンディションが抜群というわけではなく,特にミッドセクションはバブルガットの様な大きな膨らみはないものの,若干崩れている感じがしたということから分かる通り,彼は特段,ミッドセクションが強い選手ではないとというのが今回のポイントです.
Charles Griffen,インクラインダンベルチェストプレスの失敗
Charles Griffen,インクラインダンベルチェストプレスの失敗ですが,以下のインスタグラムの投稿で知ることができます.
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まず,この大迫力のインクラインチェストプレスの重量ですが,170 lbs (77.1 kg)以上であることが,彼のそれまでの投稿で知ることができます.
インクラインダンベルチェストプレスを実施したことがある方なら分かるかと思いますが,通常のダンベルチェストプレスよりも重量が扱い辛いインクラインで,しかも,バーベルよりも重量を扱いにくいダンベルでこれだけの重量を扱うのは相当凄いです.
Charles Griffen,幸い,大事に至らず
今回の彼の投稿から,彼が幸い,大事に至らなかったことが伺えます.
This was scary scary and thought my pec was gone gone. This happened on Monday dumbbell came off my leg wrong. Went to the Dr this morning to review mri long story short we need no surgery grade II tear 4 to 6 weeks no deformities at all!
これはかなり怖かったです.私の胸筋がなくなってしまったと思いました.これは月曜日に起こったことでダンベルが私の脚から間違って外れてしまったのです.今朝,医師のところに行き,MRIを見たところ,手術は必要ない,グレードⅡの裂傷で4~6週間で大胸筋の変形は全くないとのことでした.
この動画をみただけでは,そんなに重篤な怪我になっているのかと思うところではありますが,実際,今回の重量,ダンベルの落ちる向きを総合すると,怪我をするには十分な条件が揃っていると思います.
今回,Charles Griffenは無理だと思ったらダンベルを離したようにしましたが,これが大胸筋の断裂という最悪の時代を免れた最大の要因でしょう.
大胸筋は,一度怪我をして手術をするとなるとコンディションを大きく崩してしまう可能性があるため,今回の事件は不幸中の幸いだったと言えるでしょう.
Charles Griffenの事故の原因は
今回,Charles Griffenの事故の原因について,彼は「オンザニーでのダンベルの持っていき方が崩れた」ことを述べていますが,私としてはそもそもはダンベルの形状に問題があると思っています.
今回,Charles Griffenが使用していたダンベルは日本でもお馴染みのIVANKOのダンベルです.
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IVANKOのダンベルですが,恐らく,いくつかのプレートなるものが存在して,それを止めることで所定の重量のダンベルを作り出していると考えられます.このとき,キリの悪い数値のダンベルを作ろうとすると,径が小さいダンベルを組み合わせることになり,ダンベルの端部が出っ張ったような状態になります.
この状態でオンザニーを適用すると,膝とダンベルの接触面積が小さくなってしまうことから,今回のような問題が発生します.
つまり,今回の問題は,Charles Griffenの問題というよりは,IVANKOのダンベルにあると考えており,正直,IVANKOはこの問題を改善した方が良いと思います.
終わりに…
IVANKOのダンベルの問題ですが,私も何回か経験したことがあります.そのため,厳密にはダンベルの重量は細かく刻んであるものの,オンザニーすることができるダンベルの重量は限られており,非常にやきもきした記憶があります.
IVANKOのダンベルは日本のゴールドジムでも積極的に取り入れられてはいますが,以上のような問題があり,個人的には早急に対応してほしいとずっと思っております.