Nick Walkerといえば,とんでもないサイズが特徴的な選手ですが,そんな彼が今回220 kgのフルデッドリフトを披露しました.
今回はこの情報を皆さんとシェアしたいと思います.
Nick Walkerとは
Nick “the Mutant” Walkerは,1994年アメリカ生まれのプロボディビルダーです.身長は,170.18 cm,体重は113 kg (これは,恐らく,コンテスト時だと考えられます.)です.
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彼は,アマチュア時代から非常に有名であり (アマチュアの段階で,何社もスポンサーがついていました.),「すぐにプロカードをとってもおかしくない」との評価を受けており,実際に,North American Championships 2020で優勝することでプロカードを取得しました.
プロカード取得後,大激戦となったChicago Pro 2020で4位になると,翌年2021年は大躍進を果たします.三大コンテストに数えられるNew York Pro 2021,アーノルドクラシック 2021で優勝し,オリンピア 2021では初出場ながら5位と大躍進します.
2021年は,プロ2年目であり,それでこれだけの成績を残せると言うのは素晴らしいとしか言いようがありません.
Nick Walkerが220 kgのフルデッドリフト披露した動画
Nick Walkerが220 kgのフルデッドリフト披露した動画は以下です.
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今回,彼が扱っている重量は片側に20 kgプレートが5枚,すなわち,両側で10枚で200 kgとなり,シャフトの重さが20 kgあるので合計して220 kgとなります.デッドリフトの実施方式としてはコンベンショナル方式 (要は,一般的にデッドリフトと言われている方)です.
220 kgの重量をここまで丁寧に実施しているNick Walkerを見ると,改めて彼の背中の強さがわかります.しかも,回数は10回であり,なぜか,セットの後半に行くに従ってバーベルを上げる速度が増大しています.セットの前半ではネガティブムーブメントを意識していることから,逆にネガティブムーブメントを意識しないで実施すれば,彼は260 kg近くを扱えるのではないかと思います.
IFBBプロはフルデッドリフトを多く取り入れている印象
フルデッドリフトですが,日本ではその効果については賛否が分かれるところです.
デッドリフトは,下げる位置によって負荷がかかる部位が変わると言われており,下げる位置が深いと臀部,ハムストリングスへの寄与が大きくなり,下げる位置が浅いと背中の筋肉への寄与が大きくなると言われています.
そのため,背中を鍛えるエクササイズとしてデッドリフトを行う際には,ハーフデッドリフトで十分と指摘する人も多く,現に,ジムに行って背中のトレーニングでデッドリフトを行っている人でフルレンジで実施しているという人は非常の限定的です.
また,近年では,背中のエクササイズとしてデッドリフトは過大評価されていると指摘する人も多く,むしろ,高重量のデッドリフトは怪我の原因となるため実施すべきではないと述べる人もいます.
その一方で,IFBBプロに焦点を当てると,彼らがデッドリフトと指すエクササイズは基本的にはフルレンジのものであり,フルデッドリフトを背中のトレーニングとして取り入れている選手は非常に多いです (Chris BumsteadやHadi Choopanがその例です.).
これを考えると,一概に,デッドリフトの効果がないと言い切るのは正直,疑問が残るところがあり,個人的に,できるならばフルデッドリフトを背中のトレーニングで取り入れた方がよいのではないかと感じています.
終わりに…
コンベンショナル方式で220 kgのデッドリフトをここまで正確なフォームで実施するのは非常に難易度が高いです.これだけ正確なフォームでバーベルを引いて,かつ下ろすことができるというのは相当な背中の筋肉がないと難しいと思います.