以前の記事で,トレーニングテクニックの一つであるスーパーセットとジャイアントセット法について解説しました.
その記事では,大まかにスーパーセット法について解説させて頂きましたが,今回はさらに詳しくスーパーセット法について解説したいと思います!
スーパーセット法のおさらい
まずは,スーパーセット法についておさらいです.
スーパーセット法は,2種目をインターバルなしで連続で行うトレーニング方法です.2種目の選択肢としては,主動筋と拮抗筋 (※)をターゲットとした種目を選択します.
※主動筋と拮抗筋とは,筋肉が動く時は主にターゲットとする筋肉 (=主動筋)とそれを補助する役割の筋肉 (=拮抗筋)です.一番簡単な例ですと,アームカールをする際のターゲット部位は上腕二頭筋であり,上腕二頭筋を収縮させることで効かせますが,それと同時に反対側の筋肉である上腕三頭筋が収縮しています.このとき,上腕二頭筋が主動筋となり,上腕三頭筋が拮抗筋となります.基本的に解剖学がよくわからないと言う方は,主動筋と拮抗筋は裏表についてる筋肉と覚えていただいて差支えありません.
主動筋と拮抗筋の一例は以下の通りです.
- 上腕二頭筋と上腕三頭筋
- 広背筋と大胸筋
- 大腿四頭筋とハムストリングス
- 腹直筋と脊柱起立筋
すなわち,体の裏表についている筋肉です.
ただ,実際には,厳密に身体の裏表についている筋肉をスーパーセットで鍛えているという人は見かけません (腕なら行う人が一定数いますが,それ以外はほとんどいません.).
現実的には,全く同じ部位を連続で鍛えるスーパーセット法,すなわちコンパウンドセット法が取り入れられていることが多いです.
※厳密には,スーパーセット法とコンパウンドセット法は異なりますが,以下では纏めてスーパーセット法と呼びます.
スーパーセット法のメリット/デメリット
スーパーセット法のメリット,デメリットは以下の様になります.
スーパーセット法のメリット
スーパーセット法のメリットは以下の通りです.
- 短時間で大きな刺激を入れることが可能
- 比較的,どんなジムでも実施可能
まず,短時間で大きな刺激を入れることが可能です.これは,単純に1セットで2種目行うため,1セットでの負荷が多く,ハイボリュームトレーニング (セット数の多いトレーニング)をし難いためです.
例えば,1セットで2種目行うのがスーパーセットですから,本来6セット行うトレーニングが3セットで済みます.インターバルを60秒と仮定すると,インターバルで60秒 × 5 = 300秒費やすこととなりますが,3セットならばインターバルに費やすのが45秒 × 2 = 90秒で済みます.スーパーセットの分,セット自体の時間は,回数によりますが,30秒程度長くなりますが,それでも30秒 × 3 = 90秒であり,前述のインターバルと合わせて,180秒となり,120秒の短縮となります.これを各種目で行っていけば,少なくない時間の短縮になるはずです.
次に,比較的,どんなジムでも実施可能です.特定のマシンを使わないとできないスーパーセットもありますが,グリップの向き・幅,立つ,座る,etc.で種目を変更することが可能です.そのため,フリーウェイトがあれば間違いなくできますし,基本的にどんなマシンでもスーパーセットを行う余地があります.故に,スーパーセットができないというジムはほぼ存在しないと断言することができ,前述した理由で種目を変えれば良いわけですから,初級者から上級者まで取り入れやすいというメリットがあります.
スーパーセット法のデメリット
スーパーセット法のデメリットは,以下の通りです.
- 高重量を扱い難い
- 複数マシンで実施は困難 (=迷惑)
まず,高重量は扱い難いです.これは,2セット連続で行うため,最初の種目でオールアウトする重量設定を行うと,スーパーセットをする種目を実施することができません.ただ,プロのボディビルダーの中には,逆にこの理論を逆手にとって,どちらも超高重量で行うという強者もいたりします.
次に,複数マシンでの実施は迷惑になります.これは,主に身体の裏表の筋肉を鍛えるためにスーパーセットする場合などが該当するのですが,迷惑になるのでやめましょう.
おすすめのスーパーセット
スーパーセット法は色々な組み合わせがあるのですが,以下では私が行った中でおすすめのスーパーセットについて公開します.
背中トレ
背中トレの中で特におすすめのスーパーセットは,プルダウンとリバースグリッププルダウンのスーパーセットでしょう (私は,ワイド,ビハインド,オリジナル,リバースのジャイアントセットでやることが多いです.).
一般的なプルダウンでは,大円筋等をターゲットにしますが,リバースではさらに下背がターゲットになり,背中を万遍なく鍛えることが可能です.
腕トレ
腕トレの中で特におすすめのスーパーセットは,ケーブルプッシュダウンとケーブルトライセップスエクステンションのスーパーセットでしょう.このスーパーセットは,海外のプロボディビルダーでもよく実施しているのを目にしますね.
これは,何が素晴らしいかというと,最初の種目は収縮種目で2種目目はストレッチ種目であり,万遍なく腕に刺激を入れることが可能です.
肩トレ
肩トレの中で特に,おすすめのスーパーセットは,ショルダープレスとフロントレイズのスーパーセットです.
特に,ショルダープレスはコンパウンド種目ですので,単独ではなかなか効かせ難いですが,フロントレイズと組み合わせることで,比較的軽い重量でも的確に効かせることができるようになります.
胸トレ
胸トレの中で,特におすすめのスーパーセットは,インクラインダンベルチェストプレスとダンベルフライのスーパーセットです.
インクラインダンベルチェストプレスをインクラインダンベルフライにし,ダンベルフライをダンベルチェストプレスにしても良いのですが,1種目目に大胸筋上部の種目を持ってくることが個人的に重要なことだと思っています.
脚トレ
脚トレの中で,特におすすめのスーパーセットは,スクワットとフロントスクワットのスーパーセットです.
これは,本当にきついトレーニングで,重くても80 kg程度でしかできませんが,しっかり行えば必ず脚に刺激がきます (フィジカル的にも厳しいトレーニングですが,メンタル的にも非常にタフなトレーニングになります).
終わりに…
スーパーセットは,日本のジムでは行っている人はあまり多くはありませんが,本当に短時間で効かせることができるため,特に,時間が限られているトレーニーにはおすすめです.
トレーニングがマンネリ化しているという方は,ぜひ,取り入れてみてください!