筋肉痛があるときにトレーニングをして良いか?筋肉痛への正しい知識

週に複数回トレーニングに行く方は,トレーニングに行く日によってどこの部位を鍛えるかを分割していると思います.これが筋トレ用語で分割法と言い,一般的に中・上級者の間では5-6分割が一般的となっています.

ただ,週にそこまでトレーニングに行くことのできない方は一日に複数部位を行い,特に初心者の方の中には一日で体の全ての部位を行ってしまうという人も多いと思います.

そうなった場合,どうしても次にトレーニングに行ったときに体の一部分 (もしくは複数部位)に筋肉痛が残り,これにより,「体に筋肉痛があるのだけれども,トレーニングして良いの?」という疑問が生じると思います.

今回はそんな疑問に対して,まずは筋肉痛とは何なのかを考えながら,答えていきたいと思います.

筋肉痛とは

実は筋肉痛の原因については,長らく研究がなされていますが確かなことはわかっていません

長らく,筋肉痛の原因は,「疲労物質である乳酸が筋肉に溜まることで生じる」という説が有力でした.しかし,最近の研究で運動直後に乳酸の濃度が低下することが分かり,その矛盾点から「乳酸が筋肉痛の原因ではない」とする説が有力となってきました

ですので,近年,最も提唱されているのが,「運動中の筋繊維の損傷を修復する際に発生する炎症によって生じるのが筋肉痛である」というものです.この説から推測できますが,収縮系の種目よりもストレッチ系の種目の方が筋繊維を断ち切る運動となることから筋肉痛になりやすく,トレーニングが初心者の方でも比較的,簡単に対象部位に効かせることが可能となります.

(以上の「乳酸が蓄積することで筋肉痛になる」という説と「筋繊維が断ち切れることで筋肉痛になる」という説の2つのうちどちらが正しいか直感的には分かりませんね.確かに,回数の多い耐乳酸トレーニングのようなものでも筋肉痛になりますが,高重量で筋繊維を断ち切るのようなトレーニングでも筋肉痛になりますもんね.)

この筋繊維の損傷を回復する段階で,損傷する前よりも強い筋肉となることで筋肉量はアップしていきます.ただ,「筋肉量をアップさせるのに必ずしも筋肉痛は必要ではない」という説が一般的です (田代誠選手なんかはこれを提唱していますよね.).これに関しても,まだまだ未知なことが多いので何とも言えないのですが,少なくとも,「扱う重量が増える」,「回数が増える」 ( = 過負荷の原則)の2点を達成していれば筋肉は発達しているということであるため,それを目安にする方が確実です.

筋肉痛があるときにトレーニングをしても良いのか

結論から言えば,「筋肉痛がある部位のトレーニングは避けるべき」というのが私の意見です.

筋肉痛があるということは,筋繊維が傷ついている証拠であり,この状態でトレーニングを行ってもベストなパフォーマンスを発揮することは難しいです.筋量が増大するための一番重要なことは,「過負荷の原則」を達成することですから,筋肉痛がある状態では,どうしても筋肉への刺激を避ける様なトレーニングとなり過負荷の原則をクリアすることは難しいと考えられます.そのため,トレーニングをしても筋量が増大することが期待できる程の強度のトレーニングを実施することは困難であり非効率です.

それでもトレーニングをしたいという方には,まず分割法を取り入れることを強く推奨します.分割法を取り入れれば,一般的には1週間で1部位しか鍛えないように予定を立てるはずですから,筋肉痛がある部位をトレーニングするという事態は発生し難いはずです.また,分割法を取り入れても,連動する部位 (例えば,胸,肩など)を近い曜日で鍛えるのは以上の理論から推奨できません.そのため,連動する部位は日にちを跨ぐ様に設定するのがポイントとなります.

ジムに行くのが不定期という方には,筋肉痛がない部位をトレーニングをすることをお勧めし,その中でも特に全身が筋肉痛という方にはお休みすることを推奨します.ジムに行くのが不定期の方は.「ジムに行くことができるときに行っておきたい」という気持ちがあるかもしれませんが,休むこともトレーニングの一環です.

終わりに…

こうしてみると,実は筋肉痛とは分かっていないことが多い現象になります.そのため,筋肉痛の有無でトレーニングの効果を判断するのではなく,「どれだけ重量を扱えているか」,「どれだけ回数ができたか」の2点でトレーニング効果を判断することが重要となります.そのため,以上の2点でトレーニング効果について判断することになりますから,筋肉痛がある状態でのトレーニングはあまり効果がなく,むしろ休んだ方が効率的であるということになります.

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