ジャイアントセットとは,4種目以上の種目を連続して行うトレーニング方法であり,対象部位を効果的に刺激することのできるトレーニング手法でした.
そこで,以前の記事では,ミロス指導の下,中国のプロボディビルダーであるLu Chen Hui選手の肩のジャイアントセットについて解説しました.
今回は,同じく,ジャパンプロに向けて,Lu選手が山岸選手と合同で,ミロス指導の下三等筋のジャイアントセットを行っている動画を見つけたため,それを公開したいと思います!
Lu選手,山岸秀匡選手の上腕三頭筋ジャイアントセット動画
Lu選手,山岸秀匡選手の上腕三頭筋ジャイアントセットの動画は以下になります.
肩のジャイアントセットもそうでしたが,一つの部位と決めたらその部位に関してのみジャイアントセットを行います.すなわち,同じ腕だからと言って,二頭筋の種目が入るということはありません (肩のときもリアやサイドは行わずにフロントだけのジャイアントセットでしたね.).
Lu選手,山岸秀匡選手の上腕三頭筋ジャイアントセットの種目
今回の種目は以下の通りになっています.
- シーテッドディップス (10回)
- ナロープレス (60 kg× 10回)
- スカルクラッシャー (20 kg ×10回)
- vケーブルプッシュダウン (10回)
- ケーブルライイングトライセップスエクステンション (10回)
- ナロープッシュダウン (順手) (10回)
- EZバーフレンチプレス (20 kg × 10 回)
- ナロープッシュダウン (逆手) (10回)
- パラレルグリップナロープレス (40 kg × 10回)
シーテッドディップス
まずは,シーテッドディップスです.日本にもありますが,あまり見かけないマシンです.
重りを押し切った部分で2秒間キープしています.これは,三頭筋により大きな収縮の刺激を与えるという意図があると思われます.
収縮ポジションは以下の通りです.
ディップスも色々な方法がありますが,今回は収縮の刺激を効率的にいれるため腕を伸ばしきるようにしましょう.
ストレッチポジションは以下の通りです.
しっかりと前かがみになって,重りの重さを受けてストレッチを感じることが重要です.ただ,あくまでも収縮メインの種目なので,トップでの切り返しは素早く行いましょう.
ナロープレス
次は,ナロープレスです.
ナロープレスもシーテッドディップスと同様に収縮部分で2秒間かけています.
ボトムポジションは以下の通りです.
ナロープレスですので,しっかりと脇を締めることが重要です.ボトムの位置設定は,胸よりも若干下目に設定し,降ろす時,バーベルと身体が当たるくらいまで下げます.収縮メインの種目ですので,上げる時の切り返しは早く行いましょう.
トップポジションは以下の通りです.
サイドからの映像ですので確かなことは言えませんが,恐らく,肘はほぼ伸びきっていると考えられます.これは前述した通り,収縮をターゲットにした種目と割り切っているためです.
スカルクラッシャー
次はスカルクラッシャーです.
スカルクラッシャーもシーテッドディップスと同様に収縮部分で2秒間かけています.
ボトムポジションは以下の通りです.
ボトムはおでこに設定するパターンのスカルクラッシャーですね.スカルクラッシャーも色々種類がありますが,おでこにボトムを設定すると,筋肉は頭の後ろにボトムポジションを持ってくるスカルクラッシャーと比較して,そこまでストレッチしませんが,かなりきつくなります (筋肉はストレッチした分だけ,大きな力を返そうとしますが,この場合,筋肉が過伸展しないため,力が出にくいのだと思われます.).
また,この種目ではボトムでも制止しています.そのため,相当なストレッチもかかっていると考えられます.
トップポジションは以下の通りです.
トップポジションは首の真上くらいにきていますね.本来のスカルクラッシャーならば,このフォームだと戻し過ぎですが,この方が収縮感を得やすいというメリットがあります.やはり,この種目でも収縮をかなり狙っていると思われますね.
vケーブルプッシュダウン
次はケーブルプッシュダウンです.
この種目も,シーテッドディップスと同様に収縮部分で2秒間かけています.
ケーブルプッシュダウンは,ケーブルを体から離すときつくなるのですが,Lu選手は体からかなり離していますね.体から離すと肘を内旋しやすくなり,より外側頭 (三等筋の外側)に効きやすくなります.
この種目はトップポジションの位置設定が非常に重要です.
ケーブルが床と平行になる以上に戻してしまうと,ストレッチはかかるのですが,刺激が抜けてしまいます.そのため,上の写真の様に床と平行になる様に持ってくるのが一番刺激が入るのですが,如何せん,これがかなりきついんですよね….
ケーブルライイングトライセップスエクステンション
次は,ケーブルライイングトライセップスエクステンションです.
トライセップスエクステンションも色々種類がありますが,一番一般的なのは,以前フレックスルイスが行っている種目として紹介した立った状態で行うものですよね.
今回の種目は寝たまま行っています (日本のジムは,ケーブルマシンの近くにベンチが置いてないことが多いため,実施困難なんですよね….).
この種目ですが,2人いないとできないのが非常に惜しいですね.ただ,このフォームから推察される様に,かなりストレッチの刺激が入ります.立ったままで行うものと比較して,体を煽れない分,高重量は扱えませんが,その分,ストリクトに実施することが可能です.
ナロープッシュダウン (順手)
次はナロープッシュダウンです.順手で行うため,外側頭狙いですね.
この種目も,シーテッドディップスと同様に収縮部分で2秒間かけています.
プッシュダウンは,ケーブルを顔の前に持ってくるパターンと,首の横に持ってくるパターンがあります.前者は高重量が扱えませんが,ストリクトに実施可能であり,後者はストリクトに実施できませんが高重量を扱うことが可能です.今回が前者のパターンであり,かなりきついです.
これもケーブルプッシュダウンと同様に,床と平行にすることで刺激が抜けない様にしていますね.
EZバーフレンチプレス
次はEZバーフレンチプレスです.フレンチプレスは,ダンベルで行うのが一般的ですが,この様にEZバーで行う方法もあります.
この種目はボトムポジションの位置設定がすごいですね.
後半の種目ですので,疲れているはずですが,しっかりと頭の後ろまで持ってきています.ですので,ストレッチがしっかりと入っているはずですね.ただ,後半ですので,これも2人でやらないとバーベルを落とす可能性が大なので,実施しようと考えているかたは気をつけてください.
ナロープッシュダウン (逆手)
次は逆手のナロープッシュダウンです.これは,内側頭 (三頭筋の内側)狙いですね.
この種目も,シーテッドディップスと同様に収縮部分で2秒間かけています.
この種目は,トップでの位置設定を今まで述べてきた様に床と平行にすると本当は良いのですが,さすがにかなり後半ですのでフォームが崩れてきつつありますね.
ただ,これでもストレッチの刺激が入りますので,全く無駄な動作になっている訳ではありません.
パラレルグリップナロープレス
最後はパラレルグリップのナロープレスです.このパラレルグリップにつかっている特殊なバーベルは日本だとあまり置いてあるのを見たことがありません.
この種目はストレッチ狙いですね.ボトムポジションを以下に示す通り,胸に着く位置に設定し,その場所で2秒程度静止しています.
恐らく,最後の種目ということで相当疲弊しているため,仕方なくボトムで静止する (=レストポーズ)ストレッチ種目となっていますが,それでも40 kgをあげるとはさすがプロですね.
終わりに…
腕のスパーセットやジャイアントセットを行うと,やはり,二頭と三頭を混ぜた種目になりがちですが,本当はこの様にターゲットを絞った方が良いということですね.
ただ,二頭と三頭を混ぜてもかなりきついのに,これを単独でやってしまったら,どれだけきついトレーニングになってしまうのでしょうか…..