ジャイアントセットとは,1つのターゲット部位に対して,連続で4種目以上のトレーニングを行う方法であり,高重量を扱えない代わりに,短時間かつ低セット数で効率的に鍛えることのできるトレーニング手法です.
ジャイアントセットといえば,やはり,山岸秀匡選手のコーチである,ミロスことMilos Sarcevです.
今回は,2019/11/17に控えたジャパンプロのために,山岸選手とジャパンプロに出場するLu Chen Hui選手の肩の合同トレーニングを見つけたため,それを皆さんとシェアしたいと思います!
Lu選手,山岸秀匡選手の肩のジャイアントセット動画
今回の動画は以下になります.
サムネイルの中央の選手がLu選手であり,右がミロスで左が山岸選手ですね.
このトレーニングしているジムの設備がすごいですね.これを撮影・編集しているBetty 鈴木さんのブログの記事によると,このジムは,”ルーアカデミーの生徒さんとチームルーの年会費を納めた構成員のみ”の様ですね.すなわち,このジムは実質,Lu選手のものであるため,とてつもない財力の持ち主であることが伺えます.
Lu選手,山岸秀匡選手の肩のジャイアントセット種目
種目は以下の通りです.
- シーテッドサイドレイズ (15 kg ?, 10回)
- シーテッドサイドレイズ (12.5 kg, 10回)
- インクラインバーベルフロントレイズ (順手) (20 kg, 10回)
- ワイドグリップアップライトロウ (20 kg, 10回)
- ベンチリーンサイドレイズ (12.5 kg, 10回)
- 10秒レスト
- ベンチリーンサイドレイズ (12.5 kg, 10回)
- ベンチリーンフロントレイズ (逆手) (15 kg, 10回)
- ダンベルショルダープレス (ゆっくり) (20 kg, 10回)
- ダンベルショルダープレス (テンポ良く) (15 kg, 10回)
どれもミロスのジャイアントセットトレーニングでは非常にオーソドックスなものが並んでいます.
シーテッドサイドレイズ
最初の種目はシーテッドサイドレイズです.シーテッドサイドレイズは,スタンディングで行う一般的なサイドレイズと比べて重量が扱えませんが,スタンディングよりもストレッチでの刺激が大きい種目です.
ボトムポジションは以下の通りです.
スタンディングと異なり,ダンベルどうしがくっつくことがないため,常に刺激が入っています.
トップポジションは以下の通りです.
さすが,プロとあってフォームが綺麗ですね.前全日本チャンピオンである,鈴木雅選手が語るサイドレイズ編で解説した通り,手首が肘よりも下に位置しており,「バンザイレイズ」になっていないため,きちんと肩のサイドに刺激が入っていると考えられます.
インクラインバーベルフロントレイズ (順手)
次は,順手のインクラインバーベルフロントレイズです.フロントレイズは,重量をあげると身体を煽ってしまうのですが,これはベンチにもたれているため,身体の反動を使うことができません.そのため非常におすすめの種目となります.今回は順手で行なっていますが,逆手も非常にオススメです.
この種目は,重量を使わなくても (=使えない)非常に効くため初心者のトレーニーの方にもおすすめの種目です.
ボトムポジションは以下になります.
これは,見ただけで三角筋のフロントが痛くなりますね笑.刺激が抜けきらない様に山岸選手が手の支えを入れており,否が応でも刺激が抜けない様になっています.実際,一人でやると下げ切ってしまって刺激が抜けやすい種目なんですよね.
トップポジションは以下になります.
このトップポジションは,上げすぎかなと思ったのですが,恐らく,上げ切ることで三角筋のフロントを最大限に収縮させようとする意図があるのだと思います.また,ジャイアントセット中のインクラインフロントレイズですので,種目の性格上,そこまでストリクトにしていないのかなと感じます.
ワイドグリップアップライトロウ
次はワイドグリップのアップライトロウになります.アップライトロウは,ナローグリップとワイドグリップがありますが,ワイドグリップの方が動員する筋肉が多く効果的であることが科学的に証明されています.
この種目ですが,だだのワイドグリップアップライトロウではありません.以下に示すトップポジションで3秒間キープしています.
これが,ミロスのジャイアントセットの真髄の一つですね.単に種目を永遠と続けるのではなく,緩急つけて,この様に収縮ポジションでのキープなどを多用していく印象があります.
ベンチリーンサイドレイズ
次は,正式名称がわからないため,ベンチリーンサイドレイズと命名します.これは,反動が全く使えないため,ストリクトにサイドレイズをしたい人には非常にオススメです.
これは,前の種目とは打って変わって,かなりテンポ良くやっています.
ベンチリーンフロントレイズ (逆手)
次も正式名称がわからないため,逆手のベンチリーンフロントレイズと命名します.これも,インクラインフロントレイズと同様に非常におすすめのフロントレイズですね.両者の違いについて,個人的には,インクラインフロントレイズの方がストレッチの刺激が入りやすく,ベンチリーンフロントレイズでは収縮の刺激が入りやすいと思っています.
ボトムポジションは以下の通りです.
ボトムはもうベンチにつける位になっています.すなわち,ミロスの中では,これはストレッチを狙うのではなく,収縮を狙う種目なんですね.
トップポジションは以下の通りです.
ミロスが補助をして,かなり上まで持ってきていますね.そのため,トップポジションでかなりの収縮の刺激が入っていると考えられます.
ダンベルショルダープレス
最後は2種類のダンベルショルダープレスです.最初に行っているのが,「3秒かけて上げて,3秒かけて下げる」というスロートレーニングです.これを後半に持ってくるとかなりきついですね.次に行っているのが,テンポを速くした一般的なダンベルショルダープレスです.
注目したいのは,ダンベルショルダープレスの軌道ですね.以下のトップポジションから推察される様に,まっすぐあげるのではなく,弧を描く様にして上げています.
ジェイカトラーは,ダンベル系のプッシュ種目を行うときは,ほぼまっすぐ上げていますが,今回のダンベルショルダープレスは異なります.実は,これは,ジムでやっている人が多いのですが,中級者以降のテクニックであり,こうすることで三角筋のフロントの収縮をより感じることができます.初心者の方,フォーム固めの段階の方は,ジェイカトラーの方式をオススメします.
終わりに…
やはり,プロということもあり,ジャイアントセットにしては重めの重量で正確にトレーニングを行っていますね.ジャイアントセットの過酷さを知っているが故に,この動画を見るだけで筋肉痛になりそうです.