ボディビルディングの最大の大会である,オリンピア2019が先週末に終了しました.今年のオリンピアは,男子のすべてのカテゴリーで新チャンピオンが誕生しました.
今回は,2019年のオリンピアを振り返ります.
オープンクラス ボディビルディング
オープンクラスの順位は以下の通りです.
1位 ブランドンカリー
2位 ウィリアムボナック
3位 Hadi Choopan
4位 デキスタージャクソン
5位 ローリーウィンクラー
1位 ブランドンカリー
優勝はブランドンカリーでした.やはり,やはり前評判の通り抜群のサイズ,コンディションでした.
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他の選手と比較して,やはり,背中,ミッドセクションが非常に素晴らしく,完全勝利と言って良いでしょう.
優勝インタビューでは,家族が突然ステージ上に現れるなどサプライズがあり,彼が家族を大切にしていることが伺えます.1年の多くをクウェートのOxygen Gymで単身,トレーニングを行っているため,今回の優勝は格別だったでしょう.
ブランドンは,今年はアーノルドクラシックでも優勝しているため,ボディビルの2大大会で優勝したことになります.これは,オープンクラスでは2008年のDexter Jackson以来の快挙です.
2位 ウィリアムボナック
2位はウィリアムボナックです.シーズン途中でコーチのNeil Hillを解任したのにも関わらず,この順位はさすがです.
1位のブランドンカリーと一番大きな差がついたのは,ミッドセクションでしょう.彼らが直接対決をした今年のアーノルドクラシックでも,ミッドセクションが課題であると言及したため,それが今回も両者の差に現れたのかなと感じています.
とは言え,昨年4位からの2位へのジャンプアップであり,ウィリアムボナック自身としてはオリンピアで最高の順位です.
3位 Hadi Choopan
3位はHadi Choopanです.やはり,ダークホースで5位以内に割って入ってきました.
Hadi Choopanに関しては,圧巻の一言です.私個人的には,「2位でも良かったのでは」とも感じています.恐らく,彼に関しては,全競技者で最もコンディションは優れていました.実際に,お客さんが選ぶミスターオリピアである,ミスターオリンピア People’s ChampはHadiが受賞しました.
個人的には,このまま行けば「数年でオリンピアを取るのでは」と考えています.
4位 デキスタージャクソン
4位はデキスタージャクソンです.まさに,驚異の49歳です.
デキスタージャクソンは昨年のオリンピアでは,7位と大きく順位を落としていましたが,きっちりと調子を合わせて4位にランクインです.彼が調子が良いことは,タンパプロではっきりしていましたが,まさかオリンピアの自動出場圏内である5位に再ランクインするとは感服せざるを得ません (デキスタージャクソンは2008年に優勝しているため,半永久の出場権を持っていますが…).
5位 ローリーウィンクラー
5位はローリーウィンクラーです.なんとなく,元気がなかったかなと感じたのは私だけではないと思います.
決して調子が悪い時のローリーウィンクラーではなかったと思います.ただ,やはり,コンディションという点において,ローリーが一番良かったとされている昨年のオリンピアよりも皮一枚分だけ絞りが甘かったのかなと感じています.
ローリーウィンクラーの課題は明確で,やはりコンディショニングであり,多少のバルクが落ちるという犠牲を払ってもコンディションを優先させればもっとより良い順位を望めるのですが,そうすると,彼の良さが失くなってしまうでんすよね….
212ポンドクラス ボディビルディング
212ポンドクラスの順位は以下の通りです.
1位 Khamal Elgargni
2位 Derek Lunsford
3位 Shaun Clarida
4位 John Jwett
5位 Ahmad Ashkanani
1位 Khaml Elgargni
1位はKhaml Elgargniでした.45歳とは思えない身体ですね.
Derek Lunsfordとの勝敗を分けたのは何と言ってもコンディションでしょう.大方の見方では,Derek Lunsfordが優勝するというが一般的でしたが,見事にそれを裏切ってくれました.中東勢特有のバルキーの肉体に合わせて,コンディションもプラスされ,完全勝利と言って良いでしょう.
2位 Derek Lunsford
2位はDerek Lunsfordです.2年連続で2位です.
今回のDerek Lunsfordは,コンディションがとにかく良くなかったです.このポージングを見てわかる通り,体が水っぽい感じがします.彼は,この非常に若く,才能豊かな選手であるため,コンディションも手を抜かず頑張って欲しいところでした.このサイズ感で,皮一枚で仕上げればまず優勝できるのですが,それがなかなか難しいんですよね….
3位 Shaun Clarida
3位はShaun Claridaです.212ポンドクラスでの一番のサプライズはこの選手ではないでしょうか.
彼は,オープンクラスと比較して身長が低い選手が多いとされる212ポンドクラスの選手の中でも,特に背の低い選手であり,身長は157.5 cmです.そのため,やはり,他の選手にサイズで負けてしまうのですが,コンディションが非常に素晴らしかったです.彼の活躍は,「サイズがどうしてもでない」という選手に光明を見出したのではないかと考えます.
クラシックフィジーク
クラシックフィジークの順位は以下の通りです.
1位 クリスバムステッド
2位 Breon Ansley
3位 George Peterson
4位 Keone Pearson
5位 Chen Kang
1位 クリスバムステッド
1位はクリスバムステッドでした.ついに,Breon Ansleyを下しての念願のオリンピア初タイトルです.
オリンピアの直前にハムストリングスを切るというアクシンデントがありながらも優勝してしまうとは,正直,凄すぎます.私の主観ですが,彼ほど,クラシックフィジークという競技を体現している選手はいないのではと思っています.やはり,サイズを考えれば,3位のGerge Petersonの方が優れていますし,コンディションならば,Breon Ansleyも優れています.ただ,誰が一番,伝統的な,”クラシカル”な体型をしているのかと言われればクリスバムステッドになるのかなと考えています.今回は,彼の”シェイプ”が勝負を分けたと考えています.
2位 Breon Ansley
2位はBreon Ansleyでした.彼は非常に惜しかったです.
彼は今回は2位でしたが,もしかしたら,違う日にコンテストを行ったのであれば違う結果になった可能性があります.それくらい,今回も僅差の戦いでした.そのため,来年に,また彼が1位にカムバックするという可能性が十分にあると思います.
3位 Gerge Peterson
3位は2年連続でGerge Petersonです.それにしても,クラシックフィジークでは,すごいバルクですね.
Gerge Petersonはバルクは本当にすごいのですが,クラシックフィジークっぽいかと言われるとやはりそうではない気がします.彼は,体型的にボデイビルの方が向いていると思うため,上位2選手に勝つのは結構難しいのではと考えてしまいます.
メンズフィジーク
メンズフィジークの順位は以下の通りです.
1位 Raymont Edmonds
2位 Andre Ferguson
3位 Kyron Holden
4位 Brandon Hendrickson
5位 Ryan Terry
1位 Raymont Edmonds
1位はRaymont Edmondsでした.昨年2位だったため,見事雪辱を果たしたことになります.
彼は非常に高身長の選手 (約188cm!)であるため,歴代のクラシックフィジークの選手とは結構違う印象を受けますね.身長の高い選手は,メンズフィジークを含め,ボディメイキングの大会では苦戦するのですが,高い身長にあまりあるバルク,コンディションでした.やはり,高身長の選手が両方揃うと手のつけようがありませんね.
2位 Andre Ferguson
2位はAndre Fergunsonでした.個人的には非常に調子が良かったかなと感じている選手でした.
サイズ,コンディション,バランス共に良く,優勝してもおかしくなかったと思います.それでも,1位とは6ポイントの差がついているので,いかにメンズフィジークが熾烈な戦いだったかが分かります.確かに,背中の下部なんかはRaymontの方が良いのですが,それ以外大きな差は見当たらないというのが個人的な印象です.
3位 Kyron Holden
3位はKyron Holdenでした.全く,ノーマークの選手でした.
昨年のオリンピアでは6位,今年のニューヨークプロでは優勝と着実にステップアップしています.上位2人に負けないほどのバルクを兼ね備えており,この調子でいけば十分に優勝も狙える選手ですね.
終わりに…
以前公開した順位予想は大きく外れていますね….
それくらい,今年のオリンピアの新旧交代,新興勢力の台頭などが激しかったということですね.
今年も素晴らしい舞台をありがとうございました.選手の皆様,お疲れ様でした.